俳優として、アーティストとして、言葉を意識して大切にする

──作家と呼ばれることに関してはどうですか?

片寄 いや、まったく実感がないです。連載を始めさせてもらったときは、本になったら嬉しいなと思ってましたけども、(作家と呼ばれるのは)むずがゆい感じです。

──ゆくゆくは賞を獲ろうと思ったりは?

片寄 やめてください(笑)。ハードル上がっちゃうだけなので。でも、書くことは続けていけたらなと思っております。

──今後、台本を書くなど、活動を広げる可能性はいかがですか?

片寄 この本にも書かせていただいたんですけど、すごく“言葉”が好きで、どういう言葉を使うかで、人がどういう気持ちになるのかを考えることが昔から好きだったので、台本を書くまではいかないかもしれないですけど、俳優として、アーティストとして、言葉を意識して大切にするようになれたらと思います。

──本を書くことは心を裸にする作業と思うんですけど、恥ずかしさなどはありますか?

片寄 そうですね。多少は恥ずかしさもあったかなと思うんですけど、信頼する作詞家で、昔から僕のことを知ってくださっている方とのやり取りだったからこそ、見えてくる自分自身みたいなところもあったかなと思うので、自身をさらけ出していく感覚というのも癖になってきたと思います。

──執筆していて、難しかった部分はありますか?

片寄 やっぱり慣れてないから、使う言葉が重複したりとか、言いたいことがうまく伝わっているかなとか、もっと簡潔に書けたかなとか、表現の部分で悩まされました。

──書くネタを探すことについてはどうだったのでしょう。

片寄 昨年の夏頃からやり始めた企画だったので、コロナ禍ということもあって外出もできず、自分と向き合う時間は得られたのですが、ネタ探しは難しかったですね。「奇跡が起きろ、何か来い」みたいに思ってました。

──片寄さんは作詞もされていますが、今後、作詞に取り組むとしたら今までと違う部分はありますか?

片寄 今回、自分自身から出てくる言葉とか、比喩とか、自分でも驚くものもありました。こういう表現で曲になればいいなと思うこともチラホラあったので、作詞にも挑戦していきたいなと思います。今は音楽が先にできて、詞を後で乗せることが多いんですけど、詞が先にあって、そこから曲が生まれるという作り方がグループに取り入れられたら楽しいと思います。

──最後に共著者の小竹さんに一言お願いします。

片寄 昨日の夜にLINEをいただきまして、小竹さんは「血圧が上がって寝られない」とおっしゃってました(笑)。小竹さんとじゃないと出てこなかった言葉や表現がたくさんあったと思うので、すごく感謝しています。今日の夜はぐっすり眠ってほしいと思います(笑)。

終始なごやかなムードで、質問に答えていった片寄だが、随所に書くことのこだわり、鋭い感性が垣間見える記者会見となった。ぜひ、十年来の付き合いのある「戦友」が相手だから引き出せた、「素の片寄涼太」がたっぷり詰まった『ラウンドトリップ 往復書簡』を手に取ってほしい。

Information

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判型:四六変小240ページ(オールカラー16ページ含む)
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片寄涼太・小竹正人『ラウンドトリップ 往復書簡』新潮社刊

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Reporter:Takehiko Sawaki