神尾と山田が「周りには言っていないけれど実は好きなもの」を告白
ここで本作にちなみ、「周りには言っていないけれど実は好きなもの」を、神尾と山田が観客に告白。2人が事前に書いていたフリップを手にする。
神尾は「僕はですね、実はですよ、こう見えて意外に」と、もったいぶってから「『恋バナ』が好きなんですよ」とフリップを開示すると、客席からは黄色い歓声がちらほら。「“ややウケ”ですね」と苦笑しつつ、「僕、高校生のときは恋バナ大嫌いだったんですよ。何でみんなが集まって恋愛のことを言うの?って。でも大人になって、めちゃくちゃ楽しいじゃんって思った」と明かすと、登壇者も観客も「へえ」と意外そうな様子。「人の恋バナを聞くのがすごい楽しい。それだけで幸せになれます。『恋愛できないんだよ』という友達がいて、そのときも変にアドバイスとかしちゃいましたからね」と、さらにハイテンション。山田が語った通りの、神尾の「面白い部分」が垣間見えた瞬間だった。
続いて山田は「実は私が好きなものは『知育菓子』」と発表。「“ねるねるねるね”とか。あと、昔はハンバーガーなのにイチゴ味とか甘いものばかりだったのが、今はちっちゃいサイズのハンバーガーの味のハンバーガーが作れたり、ピザの味がするピザが作れたりするんです。恥ずかしいから家で、ひとりで楽しんでます(笑)」と語り、「これなら言えるかなと思ったんですよ。実はまだあったんですけど、本当に言えないことは言えないですよね?」と周りの同意を求め、神尾も笑いながら深くうなずいた。
2人の話を聞いていた草野監督は、感想を求められて、「この数十分間で、神尾君のイメージが変わって戸惑っています」と客席の笑いを呼ぶ。そして「知育菓子は素敵な趣味だと思います」とヒロインを立てると、神尾が監督に「おいおい恋バナはスルー?」とツッこみ、会場の和やかなムードは最高潮に。
この作品は、純と紗枝がゲイと腐女子という表面上のラベリングを外し、人間として向き合っていくというのが重要なテーマ。そこで、「周りから見られているイメージと違って実際はこうなんだよというものはあるのか?」と問われる2人。
神尾は「真顔でいると、つまらなそうってよく言われますね。プライベートで感情を爆発させることってあんまりなくて、真顔でいると『帰りたいの?』って聞かれるんです。でも、心の中ではめちゃくちゃ楽しんでいるんです」と本音を語る。
山田は「顔が幼いし高校生の役が多いんですけど、コーヒーをブラックで飲むとよくびっくりされます。ブラックで飲めるんだ?飲めますよぉって(笑)」とお茶目な表情を見せた。
今から『彼女が好きなものは』を鑑賞するお客さんに向けて最後の挨拶。
神尾は「脚本を読んだときも、完成した映画を観たときも思ったんですけど、今まで自分の中で何となく思っていたけど言葉にできてなかったものが、作品の中でちゃんと言語化されています。普通って何だろう?幸せって何だろう?って考えて演じていたので、皆さんにも、何かを考えてもらえるきっかけになったらいいなと思ってます」と真摯に締めくくった。
山田は「純や紗枝の姿を見た皆さんが、自分だったらどうするかなとか、いろんな感情が湧いてくる作品だと思うので、真っ直ぐに向き合えてもらえたら、それ以上に幸せなことはないです。でも、とにかく楽しんでいただけたら嬉しいです」と丁寧にお辞儀した。
草野監督は「いつも作品を作るときは、テーマに向き合って考え過ぎるくらい考えて作っています。この作品もそうですが、爽やかな青春映画だと思うので本当に多くの人に楽しんでもらいたいです。韓国の釜山国際映画祭でひと足先に上映されたんですが、とてもいい反応をいただけたので、日本でも多くの人に観てもらって広がっていけばいいなという願いでいっぱいです。素晴らしいキャストとスタッフと一緒に作り上げた作品なので、どうかご覧ください」とメッセージし、会場は拍手に包まれた。
Information
『彼女が好きなものは』
12月3日(金) TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー
神尾楓珠 山田杏奈
前田旺志郎 三浦獠太 池田朱那
渡辺大知 三浦透子
磯村勇斗 山口紗弥加 / 今井 翼
監督・脚本:草野翔吾
原作:浅原ナオト『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(角川文庫刊)
配給:バンダイナムコアーツ、アニモプロデュース ©2021「彼女が好きなものは」製作委員会
Reporter:Takehiko Sawaki