コードを鳴らしたと同時にメロディーと歌詞が出てくる

――「純猥談」という他人の投稿からインスパイアされて曲を書くことは難しかったですか?

Karin. 難しかったです。ずっと「自分で分かることしか歌にできない」って周りにも言っていましたし、投稿者さんの文章を読んでも、なかなか曲に消化できなかったんです。

――どうして消化できなかったのでしょうか?

Karin. 自分が同じことを経験したとしても、投稿者さんと同じ運命を辿るわけではないので、100%の共感はできません。投稿者さんの気持ちに歩み寄ろうとしても心のどこかで突き放してしまったり。仮に曲を作ったとしても、一生自分が歌っていく自信があるかと考えたときに難しいかもという不安もありました。なので無理に寄り添おうとせずに、今まで自分が作ってきたサウンドの延長線上で作れたらいいなと考えて、最初に「717」という曲を書きました。投稿を読んでの素直な気持ち、投稿者の方にかけたかった言葉を、そのまま歌にしました。それを「純猥談」の短編映画シリーズを撮っているYP監督に提出したところ、「投稿者さんと連絡を取っていたんですが、彼女は当時のことを忘れるぐらい幸せみたいです」という投稿の先の話を聞いて、いいなと思ったんです。そこで「二人なら」が生まれました。

――「717」と「二人なら」は繋がっているんですね。

Karin. そうなんです。同じテーマで作りました。

――他人の言葉を、自分の言葉にしていく作業はいかがでしたか?

Karin. そのまま歌詞にしてしまっては、私が歌う理由がありません。自分の言葉にするために、恋愛以外の人間関係もリンクしているのかなと思って過去の経験を振り返ったり、前向きじゃなかったときの自分を言葉にしたりしました。いつもより曲作りの時間はかかりましたね。

――普段は曲と詞はどちらを先に作りますか?

Karin.  初めて曲を作ったときから、コードを鳴らしたと同時にメロディーと歌詞が出てくるんです。そこで土台みたいな1曲を作って、聴き返しながら、どんどん修正をしていきます。ただ以前の私は、土台の曲ができた時点で、早くスタッフさんに「できました!」と言いたくて、すぐに録音して送っていました(笑)。というのも集中力が続かなかったので、熱が冷めてしまう前に早く早く!と焦っていたんです。今は自分が納得いくまで、ちょっとずつ積み重ねていくようにしています。

――『二人なら – ep』は初めて組むプロデューサーを2名迎えて、サウンド面でも変化がありましたが、どういう意図があったのでしょうか?

Karin. 今まで同じアレンジャーさんとやってきて、主にバンドサウンドだったんですけど、今回は優しいサウンドにするために打ち込みに挑戦したいと考えました。それに先立って、制作チームとも次のステージに進むために環境を変えようという話し合いがあったんです。それで今回は初めてお願いするアレンジャーさんと1対1で話し合いながら曲のアレンジを決めていきました。今回は歌に寄り添うということをアレンジャーさんが意識してくださったんです。私の声を活かすために引き算をしていくようなアレンジを聴いて、こんなこともできるんだという驚きがありました。結果、朝から聴けるような明るい作品になったと思います。