新方式を採用して透明性の高くなった後半戦
前半戦の反省点を踏まえて、後半戦に大きく変化したのがジャッジだった。前半戦は2名のレギュラージャッジ加えて、ゲストジャッジが2名招かれ、計4名で審査を行ってきた。それぞれの持ちポイントが20点の計80点に、オーディエンスポイントの20点が加わる方式だったが、ポイント差が拮抗してしまいため、1位から9位までが団子状になってしまう確率が高かった。また一人ひとりの得点がダイレクトに反映されるため、公平に審査をしているつもりでも、ジャッジの好みに左右される可能性もあった。
こうしたジャッジの問題点を解消するために、ROUND.7よりゲストジャッジは6名となり、レギュラージャッジ2名との計8名による審査となった。採点方式も変更され、より幅広い視点でパフォーマンスを評価できるようになった。ジャッジの審査項目ポイントも、パフォーマンス毎に公表されるようになり審査が透明化。シーズン中でありながら、すぐに問題点を改善するフットワークの軽さは、D.LEAGUEの自由さを感じさせた。
後半戦に勢いを増したのがKOSÉ 8ROCKS。世界に名を轟かせるブレイクダンサーのISSEIがディレクターを務めるKOSÉ 8ROCKSは、2024年開催のパリオリンピックから「ブレイキン」が正式種目に追加されることもあって、当初から注目度が高かった。惜しげもなく大技を連続で繰り出したROUND.7で3位、SP ダンサーにISSEIがリーダー務める九州男児新鮮組メンバーの SHUVAN と REN を迎えたROUND.10で悲願だった初優勝を飾るなど、尻上がりに調子を上げて行った。
後半戦もコンスタントに圧倒的な存在感を示したのがFULCAST RAISERZ。中でも強烈なインパクトを放ったのがROUND.8で、硬派なイメージのKRUMPにオタク対ヤンキーという不良マンガの図式を持ち込み、コミカルでありながら、しっかりとテクニックを見せる構成で2回目の優勝を果たした。
avex ROYALBRATSは後半戦でも、毎回、メンバーの一人が主人公を務めることで、全く違った印象のパフォーマンスを披露し、シーズンを通して好成績を残した。前半戦からオーディエンスポイントで高い評価を得てきたが、アプリ会員全員がオーディエンスジャッジに参加するという初の試みが行われたROUND.11では満点の20点を獲得。ジャッジポイントでも高い得点を叩き出し、ROUND.3以来の首位に輝いた。
中盤で好成績を残しながら、後半でポイントが伸び悩んだのがSEPTENI RAPTURESだった。ROUND.7で1位、ROUND.8で2位、ROUND.9で1位と、ここまで3度のトップに輝きながらも、その後の3 ROUNDでは思うような結果を残せず、シーズンを通してのトータルランキングで5位となり、シーズンチャンピオンを争う「CHAMPIONSHIP」進出を逃してしまった。全12 ROUNDをどう戦うかというトータルの戦術もD.LEAGUEには必要だと思わせる結果だった。
後半になって勢いがついたのはSEGA SAMMY LUX、「アメリカ旅行への憧れ」をテーマに掲げたROUND.10ではコンセプチュアルな構成が新鮮で2位。有観客での開催となったROUND.12ではマイケル・ジャクソンにリスペクトを捧げたパフォーマンスでオーディエンスポイント満点を獲得して、ROUND.1以来となる優勝を果たした。
こうしてKRUMPのFULLCAST RAISERZ(1位)、SWAGのavex ROYALBRATS(2位)、HIPHOPのSEGA SAMMY LUX (3位)、Breakin’のKOSÉ 8ROCKS(4位)の4チームが7月1日に東京ガーデンシアターで開催されたCHAMPIONSHIPに進出。各チームが持ち味を遺憾なく発揮する白熱したバトルを繰り広げ、avex ROYALBRATSが初代王者に輝いた。