高校時代に通った音楽養成講座で音楽活動がスタート

――音楽を始めたきっかけについて教えてください。

にしな 高校2年生のとき、レコード会社が主催する無料の音楽養成講座に3カ月という短期間でしたが通いました。それが音楽を始めたきっかけです。その前から音楽はやりたかったけど、学校に軽音部もなくて、始めるきっかけを掴めずにいました。

――もともと人前で歌うのは好きだったんですか?

にしな 小さい頃から歌う人になりたいという気持ちはあったんですが、恥ずかしくて人前で披露することはできなかったです。前に出るのが苦手なタイプで、歌うのは友達とカラオケに行ったときぐらいでした。小学校の卒業文集も、「歌手になりたい」って書けなくて、「フォトグラファーになりたい」って書いていました(笑)。音楽養成講座に通っていたことも、学校では誰にも言ってなかったです。

――音楽を始めるまで、どんなアーティストを聴いていましたか?

にしな 小学生の頃は、なぜかバンドの曲を聴くと心がザワザワするので聴けなかったんです。中学生になってから、どんな音楽でも聴けるようになって、バンドが流行っていたので、クリープハイプさんやRADWIMPSさんを聴いていました。ハマったバンドを掘っていくうちに、カバーしている曲のアーティストも聴いて、みたいな感じで幅が広がっていきました。高校生になってからも流行りの曲を聴く感じで、ハナレグミさんにもハマりました。

――音楽養成講座では、実際にオリジナル曲も制作されたんですか?

にしな 講座の最後にオムニバスアルバムを作りましょうという課題があって、そのときに初めて曲を作りました。

――講座に行って良かったことは何でしょうか?

にしな 「歌手になりたい」って周りに言えなかった私にとって、同世代の子がやりたいことに向かって真っすぐ進んでいる姿が刺激になりました。それで「私も音楽をやっていいんだ」という感情を得ることができました。

――講座が終わった後は、どういう音楽活動をしていたのでしょうか?

にしな オムニバスアルバムを作った後に卒業ライブがあって、初めてライブハウスに出ました。それで卒業後も自分でライブをしてみたいなと思って、そのライブハウスにメールさせていただきました。

――行動的になったんですね。

にしな そうなんです。急にポン!ってなるタイプで(笑)。その後は他のライブハウスにも連絡を取って、ライブをしての繰り返しでした。一人での弾き語りだったんですけど、高校3年生のときは、そんな感じで音楽活動を行っていました。

――当時、歌と曲作りでは、どちらに比重を置いていましたか?

にしな 歌いたい気持ちが強かったです。音楽活動を始めてから、曲を書くことが自分の表現に繋がっていって、曲作りの大切さも徐々に強まっていきました。

――自分の歌声にオリジナリティーがあると感じていましたか?

にしな どうだろう……。歌い始めた頃は、すごく扱いにくい声だなと思っていました。まだ喉も成長していなかった上に、緊張もあって、ステージに立っても細くて途切れそうな声しか出なくて。どうしたら豊かな声が出せるのかを試行錯誤していました。徐々に扱いにくさはなくなっていったんですけど、もっと気持ちよく歌うにはどうすればいいのかという探求心は今もあります。