撮影後に出来事や気持ちをスマホで撮影して見返す
――映画『偽りのないhappy end』はかなり重い内容で、最後まで予想のつかない展開でしたが、映画の脚本を読んだときはどんな印象を受けましたか?
仲 今まで出演した作品はダンスが付き物というか、ダンスシーンのあるお芝居が多かったので、ダンス抜きで、しかも笑顔もないシリアスな演技は初めての挑戦になると思いました。
――映画では妹思いの姉・ヒヨリを演じていますが、ご自身に姉妹はいらっしゃいますか?
仲 2つ上に姉がいます。ヒヨリもエイミも、この映画に出てくる姉妹は距離が遠いから、もどかしいと感じました。うちの姉妹はすごく仲が良くて、隠し事とかもないし、全部話しちゃいます。だからこそ映画の姉妹が理解できなくて。でも、いろんな友達から姉妹のことを聞くと、私の姉妹が「仲良すぎ!」って言われるので、映画の関係は普通なんだって思いました(笑)。
――ヒヨリに共感する部分はありましたか?
仲 すごく意思が強いというか、行方不明の妹を探すために、知らない人に立ち向かうって相当な覚悟がないとできないじゃないですか。共感はできるんですけど、ヒヨリちゃんほどは立ち向かえないなと思いました。
――仲さんも意思が強い部分はありますか?
仲 あります。白黒はっきりしている性格です。20年以上ダンスをしているんですが、好きなことを貫き通す、やりたいことを続けるという真っすぐな気持ちは、意志が強いからだと思います。
――息詰まるようなシーンの連続でしたが、感情をキープするために工夫したことはありますか?
仲 感情をキープするのはすごく難しかったです。毎日、撮影が終わった後、自分の台本に「今日はここを撮って、こういう風に感じた」と心情をメモしていました。そうじゃないと感情を維持できなかったです。あとは台本を読んで、こういう気持ちだと思っていても、相手がいて相手の生の言葉があることで、気持ちも乗っていきます。台本を読んだときは冷静に言おうと考えていたのに、現場では声を荒げるとか、その場で変わっていく部分もありました。
――以前から台本に、その日の感情などを書き込んでいたんですか?
仲 今回は台本にも書き込みましたが、お芝居を始めたときから、ずっと撮影終わりにスマホで動画の日記を撮っているんです。誰かに見せる訳ではないんですけど、動画で「撮影何日目。今日はここのシーンを撮った」と気持ちを素直に話しています。
――動画の日記は演技をする前からやっていたんですか?
仲 お芝居で初めてです。ダンスでは撮影したことがないです。感情って、そのときしかないなってお芝居を初めて感じるようになりました。お芝居やっているときの感情と、役とは別の仲万美の感情を残しておかないと忘れるなと思って今も続けています。
――動画はすべて保存してあるんですか?
仲 2~3年分くらい保存しています。時間にすると数分程度、長いときだと10分くらい話しています。見返すと、自分の成長が分かりますし、逆に変わらない部分も見えてきて、いろいろな発見があります。変わった部分としては、役との向き合い方が分かってきたというか、自分の中でコントロールできるようになりました。万美であるときと、役であるときの切り替えがちゃんとできるようになってきました。
――以前は上手く切り替えができなかったということですか?
仲 初期の動画を見ると、演じている役の子が、どういう風に思ってるのか分からないみたいなことを言ってました。今は、万美はこう思うけど、この子はこうなんだよねっていう両方の意見を持てるようになって。そんな自分を不思議だなと思いながらも、そこは成長なのかなと。