小竹正人さんは10代の頃からフラットに見てくれていた
――今回、どういう経緯で書簡集という形式になったのでしょうか?
片寄 小竹正人さんから提案をいただいたんです。そのときは往復書簡という言葉もあまり分かってなくて、ちょっと想像できなかったんですけど、ぜひ僕ができることがあればやってみたいですと答えたのが最初でした。小竹さんが往復書簡をやってみたいというアイデアがある中で、浮かんだ相手が自分だったという気がします。
――小竹さんは片寄さんにとってどんな存在でしょうか?
片寄 僕がこの業界に入った10代の頃から、僕に対しても人として接してくれていたなという印象があります。こういう業界だと先輩後輩という気遣いがありがちなのですが、すごくフラットに僕のことを見てくれていたのかなと。そういう意味では稀有な存在だと思います。
――完成した本を手に取ったときの感想をお聞かせください。
片寄 連載させていただいた頃は締め切りに追われて、なかなか簡単なことではなかったんですが、実際に出来上がったものを見て、積み重ねてきたものがこうして形になるというのはとても嬉しいことだなと実感しました。
――著作は早くも3刷となりましたが反響はいかがですか?
片寄 初の著書ということもあって、ありがたいことにいろんな方にご取材していただきました。時間が経つにつれて、少しずつですけど周りの方から読んだ感想をいただいたりする中で、やってよかったなと思えるようになりました。
――改めて『ラウンドトリップ 往復書簡』 を執筆した感想をお聞かせください。
片寄 がむしゃらに自分自身が書けることを書いていくという感覚がすごく強かったです。ただ往復書簡なので、小竹さんに対してメッセージや問いかけを残すというところはずっと意識していたので、最終的にそれは読者の方に投げる球ではなくて、あくまで小竹さんに投げる球を考えていたというところが面白みだったのかなと思います。
――「鎧(よろい)のない素の自分を見せる」ことも目標の1つだったそうですね。
片寄 自分らしい言葉で、自分が表現したいことを、いかに勘違いを生まずに表現するのかを意識していたので、そういう意味ではすごく楽しい作業だったと思います。
――作家は自分の文体を身につけると強みになりますよね。
片寄 初めて書かせていただいた段階なので、いろんな方のものを見て学ばせてもらっています。そういう意味でも小竹さんから学ばせていただく部分は多かったです。
――著作の中で、印象に残っている1冊として『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健著)を挙げておられます。どういうきっかけで出会ったんですか。
片寄 お世話になっているスタッフの方に教えてもらって読み始めたのがきっかけだったと思います。哲学的な内容のすごい作品でしたね。
――歌、お芝居、執筆とアウトプットが多い片寄さんですが、インプットに関して意識してされていることはありますか?
片寄 アートとか芸術的なものが好きなので、時間があったら知り合いの方のギャラリーに行っています。アート鑑賞は気分転換の1つでもありますね。