家族として妹を理解してあげる存在でいたい

――河合さんが演じるユウは、姉のエイミ(鳴海唯)を頼って滋賀から上京しますが、引っ越してきて早々に失踪します。

河合 ユウは空白の部分が多い役柄なので、演じているときはすごく迷いました。ユウは自分の中に悲しさや寂しさを持っているんですけど、それを外に出すのが下手で、自分で処理しちゃう子です。そういう生き方を一人で長くしてきたけど、家族であるお姉ちゃんには理解してほしいという期待感も捨てきれずにいます。

――河合さんご自身に姉妹はいますか?

河合 映画とは逆の立場で、妹が2人います。ユウとエイミの姉妹と違って、お互いに何でも話すので、それが当たり前だと思っていたんですけど、友達の話を聞くと、「姉妹で恋バナなんてしないよ」って驚かれます。

――姉として妹のことを理解していると思いますか?

河合 理解しているつもりですが、本当に分かり合うことって家族でも難しいと思います。エイミもユウのことを理解しているつもりだったんだろうなと思うんです。だから妹とは最近いろいろ話し合うようにしています。小さい頃は妹とケンカもしましたけど、私が高校、大学と進学して、仕事も始めて忙しくなって、一緒にいる時間が少なくなっていろいろ話し合うようにしています。小さい頃は妹とケンカもしましたけど、私が高校、大学と進学して、仕事も始めて忙しくなって、一緒にいる時間が少なくなってくると逆に仲良くなってきて。一緒にいるときは会話を大切にしています。

――妹さんを理解するために工夫されていることはありますか?

河合 私なら絶対に選ばないなというような行動を彼女たちがとっても、できるだけ否定しないようにと思っています。それは違うと思ったとしても、否定しちゃったら、ユウのように心を閉ざしてしまう。家族として話を聞いてあげる、理解してあげる存在でいたいと思います。最近は進路相談もしてくれるようになって、将来を考え始める時期になったからこそ、より親身になって接するようになりました。

――『偽りのないhappy end』の撮影は2年前ですが、当時のご自身を振り返っていかがですか?

河合 デビューして1年経たないくらいの頃だったので、見ると幼さや演技の選択に思うところはありますが、「その当時の」拙さとか迷いが、ユウという役には効果的に見えた部分もあったのかなって思うようにしています。

――撮影当時と今を比べて、作品の受けとめ方は変化しましたか?

河合 変わりました。当時、脚本を読んで何を考えていたのかは詳細には覚えていませんが、こうやって振り返って考えていることと、だいぶ違うはずです。そういう意味でも私に限らず、その当時の鳴海(唯)さん、(仲)万美さんを含めた、みんなの姿を映せたことは有意義だなと思います。その時しか映らないものを映すのも映画の価値のひとつの側面としてあると思うので。

――姉を演じた、主演の鳴海さんの印象はいかがですか?

河合 爽やかで軽やかな笑顔で可愛らしいイメージの方ですけど、主演というポジションでしっかりと真ん中に立っていらっしゃいました。 私が迷っているときも話を聞いてくださり、ふと気にかけてくれるというか、そういう瞬間が多くて、強い方だなと思いました。

――同じ姉として、鳴海さん演じるエイミに共感する部分はありましたか?

河合 ありました。エイミは自分が正しいと思ったことをしてきただけなのに、責められるようにどんどん追い込まれて苦しむことになります。自分が同じ立場だったら、相当辛いですね。

――松尾大輔監督の演出はいかがでしたか?

河合 違うことは違うって言ってくれて私が疑問に思ったところには向き合って話し合っていただきました。でも全部を明かしてくださる方ではないので「松尾さんは何を考えてるいんだろう、松尾さんのラインに達しているのだろうか」という葛藤はありました。役者に考えてもらうということを大事にされている方だと思います。

――改めてティーンに『偽りのないhappy end』の見どころを教えてください。

河合 女子高生を始めティーンの世代も出てきますが、自分が生きていくことにそれぞれ迷っている子たちばかりです。重くて悲惨なストーリーですが、「この子の迷いとか、人との距離感覚は分かるな」というようなところを、それぞれの視点で見つけてもらえたら面白いんじゃないかなと思います。