ツレが住んでた街みたいな感覚がコザにあった

――この映画が決まる前に、コザを訪れたことはありましたか?

桐谷 今回初めて行きました。今まで経験した沖縄オールロケの映画といえば、白い砂、青い海というイメージでしたけども、今回はワンシーンしか海は出てきません。基地の近くに住んでいる人たちには馴染みがあるかもしれないですけど、同じ日本とは思えないほど、独特の雰囲気があります。コロナ禍もあって、今はシャッターが下りているんですが、街中に独特の空気が染み付いていて、感じるものがありました。多くの役者たちは近くに実家があって、車で通ってくる訳ですよ。そいつらとも仲良くなるから余計に近く感じるというか、ツレが住んでた街みたいな感覚がコザにはありました。

――映画では寂れた街として描かれていますが、実際のコザはいかがでしたか?

桐谷 当時は一晩で家一軒建つぐらいのお金がライブハウスでばら撒かれて、明日死ぬかもしれないみたいな兵隊たちが街中に溢れていて。今も米兵たちが行き交ってはいるとはいえ、1970年代の活気と比べたら全然違うでしょうね。車通りはありますが、そこまで人が歩いている感じでもない。コロナ禍じゃなかったら、基地の人たちが街に出てきて飲むらしいんですけど、撮影のときはそうじゃなかったです。

――映画に出てくるライブハウスは今もコザに実在するんですよね。

桐谷 そうです。戦場に行く前に、兵隊さんが願掛けで1ドル札を壁に貼っていったという店は実際にあります。

――そういうロケーションは演技にも影響しましたか?

桐谷 間違いなくありました。単純にコザにいるだけで自分自身の感覚も変わってきます。

――キャストもスタッフも沖縄の方が多かったそうですが、県民性みたいなものは感じましたか?

桐谷 みんな本当にあったかくて優しくて、素敵な人たちばかりでした。もともと俺は沖縄好きなので、沖縄の人たちをたくさん知っているんですけど、基地しかり、観光客しかり、長い歴史の中でよその人を受け入れるということをしてきた人たちだと思うんです。だって一歩金網を越えたらカリフォルニア州って、よく分からないじゃないですか。喜びだけでなく、哀しさも抱く色んな経験と歴史が、沖縄の人たちの強さや優しさ、温かさに繋がっているのかなと感じます。

――桐谷さんがボーカルを務めるライブシーンもエモーショナルでした。

桐谷 俺は音楽系の作品に恵まれていて、いろいろやらせてもらっていますが、やっぱりライブは面白いですよね。今回は臨場感が欲しいということで、ほぼ全編同録です。レコーディングだったら歌詞を見ながら歌えるんですけど、ライブではそうはいかない(笑)。なので事前に、英語の歌詞をしっかりと口に馴染ませるぐらい歌いこみました。

――ティーンの読者に『ミラクルシティコザ』の見どころを教えてください。

桐谷 ロックンロールエンターテインメントしていますので、観た後にスッキリした感覚もあるでしょうし、沖縄が抱えている思いも感じられると思います。難しく考えずに、ポップコーンでも買ってもらって、肩の力を抜いて劇場で観ていただけたら嬉しいです。