もがくことは美しい

――桐谷さんが役者を志したのはいつ頃ですか?

桐谷 5歳のときです。記憶として残っているのは、映画『グーニーズ』を映画館で観たときに、「あ、この四角の中(スクリーン)に入りたい」と思ったんです。何となく役者という仕事を理解した上で、「冒険もして、目立って、しかも楽しんでる!めっちゃいいやん、これ!」と。しかも自分と同い年くらいの少年たちが出ていたので、余計に身近に感じたというか。そこから、その思いがずっと続いてる。

――高校では軽音楽部に入っていたそうですね。

桐谷 音楽を聴くのも歌うのもめっちゃ好きだったんですよ。ちなみに子どもの頃、最初に聴いたのはモーツァルト。あとはシンセサイザーの喜多郎とか。それから安全地帯、THE BOOM、THE BLUE HEARTS、UNICORNとか日本の音楽を聴いていたんですけど、中学時代までは洋楽を聴いたことがなくて。高校生になって、初めてニルヴァーナなどの洋楽を聴いて衝撃を受ける訳です。そしたら同じ中学から一緒の高校に入った奴が「ギターをやりたい」って言い出して、なぜか俺はドラムがかっこええなと思って高校1年生で始めました。

――桐谷さんは大学時代、5歳の頃から夢見ていた俳優デビューを果たしますが、その後は不遇の日々が続きます。モチベーションはどのように保っていましたか?

桐谷 モチベーションというより、「これがやりたい!」という火が消えてなかったということなんですよね。辛過ぎて、もうちょっとでロウソクの火がシュッと消えるギリギリまで行ったことがあるんです。それでも諦めきれない気持ちがありました。自分の中で役者って仕事を「これや!」って直感的に感じているから、いろいろ自信をもぎ取られたりしたけれど、どこかで行けるっていう思いがありました。計算でこうじゃなくて、ビビッときちゃっているから、それが大きかったかもしれないです。

――周りに助けられる部分も大きかったのでしょうか。

桐谷 「お前やったらいける」って友達の言葉とか、いろんなものに支えられましたね。自分もそう思っていたけど、やっぱり自信を失うこともある訳ですよ。そういうときに、何も言わんでも友達が傍で飯食ってくれたり酒飲んでくれたりするだけでも気持ちが違いました。

――どういうきっかけで光明が見えてきたのでしょうか?

桐谷 徐々にではありましたけど、大きかったのは今の事務所に出合ったことです。やっと自分を見せる場を与えてもらって救われました。音楽とかお笑いをやってる人たちがすごいのが0から1を作り出すじゃないですか。漫才でも自分でホンを書いて練習する、音楽は自分で作曲するというように、何もないところから何かができる訳です。売れてようが、売れなかろうが、アーティストでいられる。家で籠っててもクリエイトできる。でも役者って基本、「場」がないと見せられないんです。脚本という1があって、そこから始まる。もちろん、全然熱くないものを熱く見えるように飲んだり、いきなり何者かになりきったり、一人遊びは色々できるんですが(笑)。そして日常そのものが芝居に活きてくるんですけど、悶々としているときに、そんなことを考える余裕はないんです。家に籠ってても不安という気持ちをどんどんクリエイトしてしまう(笑)。だから周りの助けって大切でした。

――最後に進路を検討している読者にメッセージをお願いします。 

桐谷 もがくことは美しいと思うんです。その時期にしかできないし、パワーがあるからもがける。でも、もがいているときに真っ暗な方に行っちゃうのか、それとも光の方に行くのかで全然違います。それやったら光のある、明るく楽しい方におもいっきりもがけばいいんじゃないかなって。もがくことは全然悪いことじゃないし、それが結果的に明るい未来に繋がっていくと思います。

Information

『ミラクルシティコザ』
2022年2月4日(⾦)新宿武蔵野館他全国順次公開!

桐⾕健太
⼤城優紀 津波⻯⽃ ⼩池美津弘
津波信⼀ 神崎英敏 アカバナー⻘年会 渡久地雅⽃ ⼭内和将 ⽟代勢圭司 ⼭城智⼆
城間やよい 喜舎場泉 岸本尚泰 平隆⼈ ニッキー ベンビー 南⾥美希 渡辺光
⼩川深彩 ⼭⽥⾏ 宮城夏鈴 新垣晋也 ⻄平寿久 粒マスタード 安次嶺 けいたりん
⻄平孝架 らむちゃん 饒波正庸

監督・脚本:平⼀紘
主題歌:ORANGE RANGE「エバーグリーン」(スーパーエコーレーベル/スピードスターレコーズ)
©2021 Office Crescendo

沖縄市コザ、かつては隆盛を極めた街だが、現在ゴーストタウンの⼀歩⼿前!? そこで暮らす翔太は、特にやりたいこともなく、惰性的な⽇々を過ごしていた。彼にはちょっと変わった祖⽗(ハル)がいた。ハルは、かつて、ベトナム戦争に向かう⽶兵たちを熱狂させた伝説のロックンローラーだった。ある⽇、⾃慢の祖⽗ハルを交通事故で亡くし、失意の翔太の前に現れたのは、なんと死んだはずの祖⽗。「やり残したことがある」とハルが翔太の体をのっとると、翔太の魂は、タイムスリップして 1970 年のハルの体へ⼊ってしまう。翔太はロックンローラーだったハルとして、ベトナム戦争特需に沸く 70 年代の沖縄で、驚きの真実を知り、未来へのサプライズを仕掛けようとするが……。

公式サイト

公式Instagram

公式Twitter

桐谷健太

俳優

1980年2月4日生まれ、 大阪府出身。2002 年テレビドラマ「九龍で会いましょう」でデビュー。2008年、テレビドラマ「ROOKIES」の平塚平役で知名度を高める。主な出演作として、映画『クローズ ZERO』『TOO YOUNG TO DI E! 若くして死ぬ』『火花』、ドラマ「4分間のマリーゴールド」「ケイジとケンジ〜所轄と地検の 24 時〜」「俺の家の話」がある。2013年より歌手としても活動を開始。au のCMソング「海の声」で第58 回日本レコード大賞優秀作品賞受賞及び第67 回NHK紅白歌合戦初出場を果たす。

Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer:Takahiro Iguchi, Stylist:Yusuke Okai, Hair&Make:Tatsuya Ishizaki