人生ってそんなに厳しくない

――キャリアについてお聞きします。俳優を始められたきっかけを教えてください。

濱田 スカウトです。「テレビや映画に出られたらラッキーだね」と家族と話して事務所に所属しました。

――最初のお仕事はドラマ「ひとりぼっちの君に」かと思います。

濱田 「受からなくていいからオーディションを体験して来い」と言われて。そう言われてると受かりたくなくて、会場ではずっと悪態をついていました。一次で落とされると思ったら二次にも呼ばれて。それでますます機嫌が悪くなったんですが、結果、受かってしまった。台本を見たら、親に捨てられてスレた子を探していたようで、悪態がまさかの奇跡を生みました。早く帰りたかっただけなのに(笑)。

――ウルトラマン映画の濱田さんはとても天真爛漫な子どもに見えました。

濱田 ウルトラマンは好きだからいいんです!あのときは毎日が楽しかったです。

――学生時代、熱中していたことはありますか?

濱田 中学校の時はラグビーを一生懸命やっていました。

――ラグビー部に入ったきっかけはなんですか。

濱田 もともと父と一緒にラグビーを見るのが好きだったんです。中学受験をしたのですが、私立だとラグビー部は中学からあるところも多くて、せっかくそういう部があるんだったら覗いてみようと思ったのがきっかけです。スポーツ性にも惹かれて、どんどん没頭していきました。

――野球もお好きだと伺いました。

濱田 最初は野球をやろうと思っていたんです。でも近い年齢同士の上下関係に嫌気がさして。その後、まんまとラグビー部の罠にはまりました。中学校では人気がないスポーツだから、最初は先輩たちがみんな甘くて。「素敵な先輩だな」と思って入部したら地獄の日々が始まりました。

――ラグビーを始められてから、俳優の仕事はセーブしていたのでしょうか?

濱田 減らしたというか、俳優を続ける気はなかったんです。こんなふうに仕事が続くとも思ってなかったし、ラクビーのほうがやりたかったです。

――高校生のときに、「3年B組金八先生」への出演が決まります。

濱田 うちの学校では芸能活動が認められていなくて。部活か俳優かを選択しないといけない状態で、どっちを選ぶか悩みました。そのままラグビーをやっていたいという思いも強かった。ただ、俳優って同じ作品、同じ役は二度と来ない。「波乗りジョニー」じゃないけど、同じ波はもう来ない。高校時代から薄々感づいていたので、勉強はいつでもできると思って俳優を選びました。

――そこから俳優業を本格化させていきますね。

濱田 意識としてはあの作品を機に、俳優に本腰を入れたという感覚は1ミリもないんです。「勉強はいつでもできるから、この奇跡のようなタイミングのことをやっておこうか」というぐらいです。子どもの頃からそういう感覚で、いまだにお仕事の感覚が薄いというか、覚悟とか熱さっていうのは、ほかの俳優さんよりは少ないのかもしれません。

――しかし今では代わりのいない、確固たる地位を築いていらっしゃいます。俳優をずっとやっていこうと思ったきっかけはありますか?

濱田 運よくずっと続いているから、という感じで、この仕事にしがみついたことは一回もないです。

――中学受験してまで入った学校を辞めることは、大きな決断だったと思います。

濱田 親は受験や学校に対してお金をかけてくれていたのに、一度も「こうしなさい」とは言わず、好きにしなさいというスタンスでした。もしも、そのときに親に「こうしろ」と言われて、その通りにやっていたら、何かあった時に親のせいにしていると思います。でも自分で選ばせてもらえたから、全然後悔がないというか。自分で選んだ以上、どうこう言いようがないというのはあると思います。もちろん、あのまま大学受験に向けて頑張っていたら、また違う人生が開けたと思いますが、後悔はないです。それはたぶん親が選ばせてくれたことだからだと思います。

――進路選択を控えたティーンにメッセージをお願いします。

濱田 人生経験の浅い状態で人生の岐路に立たされて、何かを選べというシステムだからすごく苦しいし、すごく生きづらいと思います。でもぶっちゃけ、こういう悪い大人からすると、まだやり直しがきくから、好きなことやったら?と僕は思います。人生ってそんなに厳しくないと思う。大人から見えない将来を吹き込まれるかもしれないけど、実は楽しいことも多いし、自由度も高い。だから、よくできた大人を怖がらず、自分の好きなことに、まずは向かってみた方がいいと思います。

Information

『大怪獣のあとしまつ』
2月4日(金)より、丸の内TOEI、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

山田涼介 土屋太鳳 濱田岳 眞島秀和 ふせえり 六角精児 矢柴俊博 有薗芳記 SUMIRE 笠兼三 MEGUMI 岩松了 田中要次 銀粉蝶 嶋田久作 笹野高史 菊地凛子 二階堂ふみ 染谷将太 松重豊 オダギリジョー 西田敏行

監督・脚本:三木聡
配給:松竹・東映
©2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

人類を未曽有の恐怖に陥れた謎の巨大怪獣が、突然の死を遂げた。 緊急事態宣言が解除され、若者も前線から日常へと戻ってくるが、全長380メートルにも及ぶ怪獣の死体は残されたまま。政府は対応に追われることとなる。世界に一つだけの死体は、有害物質を発生させる恐れがあるが、莫大な経済効果を生む観光資源でもある。結局この巨大怪獣「希望」のあとしまつを押しつけられたのは、首相直属の組織である特務隊の帯刀アラタだった。しかし彼には大きな秘密があった。

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濱田岳

俳優

1988年6月28日生まれ。東京都出身。1998年ドラマ「ひとりぼっちの君に」でデビュー。2004年「3年B組金八先生」などで注目を集める。主演作に『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(99)、『アヒルと鴨のコインロッカー』(07)、『偉大なる、しゅららぼん』(14)、『喜劇 愛妻物語』(20)など多数。「釣りバカ日誌〜新入社員 浜崎伝助〜」(15〜)では二代目浜崎伝助を演じ、西田敏行と共演している。

Photographer: Hirokazu Nishimura,Interviewer:Ryoko Ozawa, Stylist:Norihito Katsumi(Koa Hole inc.), Hair&Make:Misato Ikeda