日常で得た声の情報をデフォルメしてリアルにしていく

――本作以外にも、声優として少女役を演じる機会も多いと思いますが、演じる際に特に意識されることはありますか?

竹達 幼い役を演じるのはだんだん難しくなります。どんどんリアルな年齢とは離れていってしまって、どうしても大人っぽくなってしまいます。だから普段から子どもをよく観察するようにしていて、電車に乗っている時や、近所で遊んでいる子どもの声を聞いて、「どういう風に声を出しているんだろう」と参考にしています。子どもって、本当に急なタイミングで面白い声を出してきたりするんです。「どこからそんな声が出るの?」というような不思議な声も出したり、そういうところもすごく研究しています。最近、保育園の前を通ったら、子どもたちが大きな声で「ドン・キホーテ」の歌を歌っていました。「ドンドンドン、ドンキ〜♪」って(笑)。「その選曲!?」ってビックリでした。

――可愛いですね(笑)。生活のいろいろな場面で吸収されているんですね。

竹達 そうですね。そうやって得た情報をどこまでデフォルメし、リアルにしていくかを作品によって変えています。

――本作では声優さん以外にも、丹生明里さん(日向坂46)、濱田岳さん、渡辺直美さん、イッセー尾形さん、松下洸平さんとバラエティー豊かな方々が声のお芝居をしていますが、声優さんとして刺激を受けたことはありますか?

竹達 収録は1人で録らせていただいたので、実際に皆さんのアフレコは聞いていないのですが、出来上がったものをお聞きして素晴らしいお芝居だと感じました。皆さん声優が本業ではない方々なのに、こんなに素敵に命を吹き込んでくださるんだって。もちろん演じるという意味では実写と同じ部分はあるのかもしれないですけど、声優は技術的なものが求められるだけに、それが出来ているのはすごいと改めて感じました。

――竹達さんが好きなキャラクターやシーンはありますか?

竹達 ハンスとの会話のシーンが大好きです。ゲームの中にもハンスは登場していますが、しゃべらないんです。今回アニメになって初めてハンスがしゃべって、すごく温かい気持ちになりました。アリスとハンスの会話も、「ああこういう感じなんだ」って知ることができて嬉しかったです。ゲームをプレイされている方も、どういう風にしゃべるのかは気になるところだと思うので、ぜひ楽しみにしていてほしいです。

――竹達さんは海外にもたくさんファンの方がいらっしゃって、この「DEEMO」も台湾発のゲームなので、また大きな反響がありそうですね。

竹達 私が声をつける前から「DEEMO」というゲームがリリースされていたのですが、私もそのゲームで遊んでいたんです。その後にアリス役のオファーが来て「まさか⁉」っていう感じで、とても思い出深い作品です。実際に台湾でイベントもさせていただいて、たくさんの「DEEMO」ファンの方にお会いしました。「本当にDEEMOが大好きです。アリスの声が竹達さんで良かったです」と台湾の方が日本語で話しかけてくれて、温かくて優しくて素敵だなと思いました。