ひとり多重セッションで届けられた渾身のボーカル

回転式のセンターステージで場内に挨拶した後、「どこもがステージ正面って感じでいきたいと思ってます。曲をやりながら回転していくので、よろしくお願いします」と語り、椅子に座って弾き語りライブを進めていく。「風前の灯」で孤独感を歌い、ブルースハープを吹きながら「雑踏の片隅で」を届ける。さらに、合鍵に別れの思いを込めた「スペアキー」、エレキギターを手にして明日への思いを伝える「誰がために鐘は鳴る」を歌唱していった。

MCで高橋は、スタッフへの差し入れについてのエピソードを語り始める。「一緒にツアーを回っているチームなんですけど、なかなか全員と話す機会がなかったりするんです。でも、僕はお菓子を通じてでも関わりを持ちたいなと思ったんです」という彼の思いがきっかけだったという。

さらに話は進み、この日の差し入れは武道館からほど近い九段下駅の大福屋で、いちご大福などを50個購入したというエピソードを語った。すると「そしたらお店のおじさん2人が『今日一番最初のお客さんでこんなに買ってくれて、うちら絶対きっと明日いい日になるよ』と言ってくれたんです(笑)」という高橋の楽曲に通じる会話があったことを披露。「そうやってスタッフさんにお菓子を振る舞うとかでもしないと、みんなとなかなか繋がれないんですよ。そういう自分を代わりに言ってくれる曲がありました」と口にし、ロックンロールナンバー「人見知りベイベー」を熱唱した。

「ボーリング」では“めんどくせー”と声高らかに歌い、「いいひと」では笑顔の裏に隠す怒りを表し、「オナニー」で愛すべきバカへの思いを軽快に歌唱する。いかんなくダークサイド黒橋優っぷりを発揮した後、「ほんとのきもち」で“愛する君への思い”を穏やかに歌った。

ここまで歌とギターのみの、オーソドックスな弾き語りスタイルで会場の空気感をしっかり掴んでいが、「せっかくなので普段あまりやらないことをします」と宣言。

ギターのボディを叩いた音をサンプラーでループさせてリズムにし、ひとり多重セッションを「room」で披露した。ステージに火が灯る中、「CANDY」ではシェイカーとギターフレーズを重ねてサウンドにダイナミズムを加え、苦渋の思いを歌唱。エレキギターを手に、巡り会う人が必ずいることを伝える「旅人」を渾身のボーカルで届けた。

「僕は10年間、いろんな出会いの歌や別れの歌を歌ってきました。別れの歌が色褪せないのは、人と離れることは悲しいけど、思い出すことでまた光に変えることができるからなのかなと思います」と語り、「誰もいない台所」を披露する。恋人との別れ、もう戻れないあの日を思い出すように、優しいメロディで淡々と歌っていった。