孤独に戦う思いをエモーショナルに歌い上げる
ライブも後半戦。ループするビートがこだまする中、高橋が「しっとりとした曲が続いたんで、ここからは立ち上がりませんか?武道館!」と声を上げると、観客も立ち上がっての臨戦態勢。
静けさをぶち破るように「(Where’s)THE SILENT MAJORITY?」を勢い全開でパワフルに披露。「象」では、一歩踏み出す勇気をロックンロールに乗せて届けた。ファンの熱いクラップが響く中、情熱的なアップチューン「ルポルタージュ」をドロップ。曲中に「嫌なこといいこと全部高橋優にぶん殴る感じで、タオルにぶつけて振り回してください!」と観客を煽ると、武道館全体でタオルが回され熱い空間が作り上げられた。
「まだ行けますよね!」の声から披露されたのは「太陽と花」。ビート、パーカッション、スパニッシュなギターフレーズが重なり、ひとり多重セッションはさらなる進化を見せる。熱いグルーヴと哀愁のメロディで孤独に戦う思いをエモーショナルに歌い、観客をガンガン乗せていく。
「僕はすげー楽しいです。このご時世の中でライブをやらせてもらえること、そしていろいろある中でみなさんがライブに来てくれたこと、その手拍子1回1回が僕には宝物です。ありがとうございます」と語り、観客は拍手を送る。
続けて「僕がずっと思っていることは、僕は僕の人生の主役だけど、みんなそれぞれの人たちが今というときの主役だと思います。脇役なんてひとりもいないし、必要ない人間なんてひとりもいないと思ってます。僕にとっても大事な日々、あなたにとっても大事な日々、そういう思いを込めた書いた曲を最後に歌わせていただきたいです。僕にとっての一番最初の始まりの曲です」と声を上げ、デビュー曲「素晴らしき日常」を披露。ギスギスした世界の先にある、明日に向かって歩いていこうというメッセージをしっかりと届けてライブ本編は終了となった。
鳴り響くアンコールの拍手に、高橋がステージに戻る。「インディーズの頃から大事に歌ってきた曲をやります」と語り、ありったけの愛で世の中をぶっ壊そうと歌う「駱駝」を披露。
360度のファンを見つめた高橋は、「これからどうなっていくか分からないけど、不安なものばかりが積み重ねってく世の中になっている気がするけど、絶対に変わらないのは、僕は、最後に歌わせていただくような、言葉、歌詞を届け続けたい。そう言ったものを僕は死に物狂いで、死ぬ直前まで絶対にみなさんに届けるって決意を込めて書いています。今日はありがとう武道館!」と感謝の気持ちを語った。
そしてブルースハープの音色から始まった楽曲は「プライド」。明るいメロディとゆったりと大きなリズムで、何度でも立ち上がって頑張っていく思いを精いっぱいの歌で観客に届けていく。
最後の曲が終わり、最高の笑顔で明るい場内を見つめる高橋。四方に礼をしながら生声で「ありがとうございました!」と叫ぶと、最後に「日本武道館、本当にありがとうございました。夢を叶えさせてもらいました。また会いに行きます!また会いましょう!」と声を上げてライブは締めくくられた。
武道館という大きな会場で、ひとりきりであらゆる人たちに感動するライブをやり遂げた高橋優。ダークサイド黒橋優の側面が出た楽曲でのライブからは、ただきれいごとを歌って慰めるのではなく、心の傷を受け入れ、その上で進んでいこうというメッセージがひしひしと伝わって来た。人のどろっとした感情を昇華する“黒橋優”の凄味に触れ、相対する“白橋優”はどんな世界観を見せてくれるのか?という、翌日への期待がさらに募るライブとなった。
高橋優 10th Anniversary Special 2Days「弾き語り武道館~黒橋優と白橋優」
黒橋優の日
日時:2022年2月8日(火)
会場:日本武道館
