2日間を締めくくるラストナンバーは「リーマンズロック」

ライブもいよいよ終盤。高橋は「今日は白橋優ってことでやらせてもらったんですけど、ずっと自分にとって何が希望で光なのか頭で考えたんです。1個思ったのが、会えるってことは結構大切なことだなと思うんですよ。今38歳だけど、80歳くらいまで生きるとして年1でみんなに会えるとしたら、あと30何回くらいしか会えないのかって思ったんです。そしたら、一気にちょっとしか会えない気がしたんですよね。春だって夏だって迎えられるのはあと30何回から40何回、もしかしたらもっと少ないかもしれない。そう考えたら、今は会えることだけが正しくない世の中になっちゃったけど、僕はバカって言われても、みんなに会えること、会っているからこそ感じられる気持ちをずっと大事に思っています」と思いを伝えた。

そして「僕の中の愛を込めて、そしてまた会いたいって思いと、今日会えて本当に嬉しかったという思い、全部ひっくるめて、いろんな人に出会わせてもらった大切な曲を最後に歌わせていただきたいと思います」と語り、「福笑い」を披露した。“きっとこの世界の共通言語は 英語じゃなくて笑顔だと思う”というフレーズは、どんなに時代が変わっても伝わるメッセージ。世界中の全ての人が幸せになって欲しいという願いを優しいメロディに乗せて歌い、ライブ本編は終了した。

武道館に鳴り響く拍手に応えて再びステージに戻った高橋は、ギターを爪弾きながら、人それぞれの良さ、美しさがあることを伝える「BEAUTIFUL」を歌唱した。

「昨日からの2日間で44曲目。この曲で終わりたいと思います」と語ると、武道館2デイズを通してのラストナンバー「リーマンズロック」が届けられた。観客の手拍子とともに、高橋は頑張り続けるサラリーマンの日々を綴った歌詞を、渾身の歌で轟かせる。目を赤くしながら“さあ胸を張れ 生きていけー!”と歌い、「また会える日を楽しみにしてます!ありがとうございました!」と声を上げて演奏を終えた。

盛大な手拍子に包まれる中、高橋は東西南北の四方に礼をする。そして「武道館、本当にどうもありがとう!これが何かの記念じゃないです。ここからです。高橋優、ここからまだまだ歩いて行きます。みなさんに会いに行きます!また次に会えるときまで、お互い頑張ろうね。何があっても負けないでいこう。オレも頑張るから、また会えるそのときまで、また明日から頑張りましょう。武道館、ありがとう!」と万感の思いで挨拶。花道を歩き、笑顔で会場をあとにした。さらに会場のビジョンに、高橋が土手を延々と歩き続ける新曲「HIGH FIVE」のMVがビジョンに映されて、ライブは締めくくられた。

2日間に渡って武道館を舞台に繰り広げられた高橋優の弾き語りライブ。“白橋優”の楽曲たちは、“黒橋優”のどろっとした部分とはまた違う心の奥底にある思いが歌われていた。ストリート時代から笑顔や希望を歌い続けてきたが、挫けず諦めずにがんばり続ける思いというのは、時が経っても決して輝きを失わない。むしろ、難しい状況が続く今だからこそ、彼の音楽がより多くの人たちの心に響くものであるということが武道館2デイズを通じて改めて体感できた。高橋優がこの先どんな音楽で人々と向き合っていくのか、これからの展開を楽しみに待ちたい。

高橋優 10th Anniversary Special 2Days「弾き語り武道館~黒橋優と白橋優」
白橋優の日
日時:2022年2月9日(水)
会場:日本武道館

Information

デジタルシングル
「HIGH FIVE」
2/25(金)配信リリース

公式サイト

高橋優

ミュージシャン

1983年12月26日生まれ。秋田県横手市出身。札幌の大学への進学と同時に路上での弾き語りを始める。2008年、活動の拠点を東京に。2010年7月、シングル「素晴らしき日常」でメジャーデビュー。2013年11月24日、初の武道館公演を敢行。2020年10月21日、7thアルバム『PERSONALITY』発売。

Photographer:Yuki Shinbo,Reporter:Keisuke Tsuchiya