自分から「これがしたい」と人に伝えることが大切

――篠原さんは10代から芸能界でお仕事されていますが、この仕事の楽しさはどういった部分で感じますか?

篠原 たくさんあります。仕事を通していろんな方にお会いしましたが、自分が学生の頃は芸能界で表現している方々を見て、主人公になったような気持ち、夢を抱けるような感覚になりました。自分がそれを伝える側になれたと思えたとき、こんなに楽しい仕事はない、幸せだなと思いました。

――未知の世界に飛び込むことへの不安や戸惑いはありましたか?

篠原 最初はすごく好奇心旺盛で、特に抵抗感はありませんでした。でも仕事をさせていただいくうちに、自分が想像していたものとは違う世界で、簡単ではないなと感じて緊張したこともたくさんあります。

――お仕事への意識が変化したタイミングはありますか?

篠原 グループのメンバーとして活動していた頃は一人ではないという安心感・逃げ場がありましたが、ソロになったときに意識はすごく変わりました。嬉しい気持ちがある一方で、プレッシャーも大きくなります。でもそれに憧れて夢を抱いていたので、チャンスを掴めたという気持ちが大きかったです。当時20歳ということもあって、責任感と言えるほどではなかったかもしれませんが、とにかく目の前のお仕事に一生懸命取り組むという感じでした。

――気持ちの上で余裕が出てきたのはいつ頃ですか?

篠原 今も余裕はないですが、この仕事ってこういうものなんだ、こうしていけばいいよねと分かってきたのは35歳頃です。徐々に、徐々にという感じです。今もまだまだと思うこともたくさんあるので何とも言えませんが、これからもいろいろな発見をできたらいいなと思います。

――篠原さんにとって、転機となった出会いはありますか?

篠原 まったく興味のなかったことに作品を介して出会うなど、本当にたくさんあります。お芝居を好きになるひとつのきっかけとなったのは、蜷川幸雄さんとの出会いです。

――蜷川さんとのやりとりの中で、演じる楽しみを知ったのでしょうか?

篠原 第一段階としてそれもありました。次の段階としては、舞台を見てくださるお客様の反応です。一人ひとりが発した言葉や演じる姿で、こんなにお客さんが感動してくださったんだと思えば思うほど、明日は違うやり方でやってみようかな、と考えるようになって。改めて「自分はお芝居が好きだったんだな」と思うようになりました。お客様のおかげでいろんな発見がありますし、前かがみになるほどのめり込んだり、涙を流したりしながら観てくださっているのを見ると、エンジンがかかっちゃう。そんなときは自分でも思いもよらないような言葉を発していたり、表現をしていたりする気がします。まさにお客様とのセッションですね。

――篠原さんがお仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

篠原 役をいただいたら、そのキャラクターを愛するということを大切にしています。まず自分がこの人を愛さなければ、誰にも愛してもらえない。それはイヤなんです。

――それはどうしても愛せない、理解できないキャラクターでも?

篠原 そういう役には出会ってないですね。いろいろなキャラに出会いましたが、みんな大好きです。

――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします!

篠原 何かをやりたいなら、そのときの気持ちを大切にするというのは当然ですが、それを恥ずかしがらずに自分から「これがしたい」と言葉に出して、人に伝えることが大切だと思います。言葉に出すか出さないかで大きく変わると思うんです。もちろん「このタイミングでは言えないな」ということもあるかもしれません。でも自分だけに秘めないで、きちんと言葉に出しやすくなるような、そういう世の中になっていけばいいなと思います。どうか勇気を持って、恥ずかしいことじゃないから。

Information

「金魚妻」 Netflixにて全世界独占配信中

原作:「金魚妻」黒澤R(集英社「グランドジャンプめちゃ」連載)
出演:篠原涼子、岩田剛典、安藤政信、長谷川京子
松本若菜、中村静香、瀬戸さおり、石井杏奈、眞島秀和、藤森慎吾、犬飼貴丈、久保田悠来、福本莉子、深水元基、小林優仁、堀未央奈、峯村リエ 他
監督:並木道子(フジテレビ)/楢木野礼/松山博昭(フジテレビ)
脚本:坪田文/越川美埜子/的場友見
撮影: 相馬大輔
エグゼクティブ・プロデューサー:佐藤菜穂美(Netflix コンテンツ・アクイジション部門 マネージャー)/牧野正(フジテレビ)
プロデューサー:中野利幸(フジテレビ)/浅野澄美(FCC)、小林和紘(FCC)
制作プロダクション:フジクリエイティブコーポレーション
製作:Netflix

多数のサロンの共同経営者として働き、タワーマンションの高層階で誰もが羨む生活を送る平賀さくら(篠原涼子)は、実は夫・卓弥(安藤政信)のDVに苦しむ日々を過ごしていた。夫の浮気相手であり、同じマンションに住むゆり葉(長谷川京子)に挑戦的な態度を取られても、仕事のために耐えていたさくらはある日、ふと立ち寄った金魚屋で店主・春斗(岩田剛典)と出会う。なぜかさくらを懐かしいように見つめる春斗との会話に、癒されていくさくら。卓弥からの暴力が限界となり家を飛び出したさくらは、春斗と一線を超えてしまう。果たしてその愛は裏切りか、運命かーー。

公式サイト

篠原涼子

女優

1973年8月13日生まれ。群馬県出身。1990年、東京パフォーマンスドールのメンバーとしてデビュー。94年、篠原涼子witht.komuroとしてリリースした「恋しさとせつなさと心強さと」が大ヒットを記録し、「第36回日本レコード大賞」優秀賞を受賞。俳優としては「anego[アネゴ]」(05年)「アンフェア」(06年)「ハケンの品格」(07年、20年)、「働くゴン!」(09年)「黄金の豚-会計検査庁 特別調査課」(10年)「ラスト♡シンデレラ」(13年)「オトナ女子」(15年)「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」(17年)など数多くの人気ドラマで主演を務める。2018年、映画『北の桜守』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』『人魚の眠る家』の出演で、「第43回報知映画賞」主演女優賞、「第42回日本アカデミー賞」優秀主演女優賞および優秀助演女優賞など数多くの映画賞を受賞。2022年3月12日より、主演映画『ウェディング・ハイ』が公開。

Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Sonoko Tokairin