2021年のSFLチームテーマは若手選手の活用
――Saishunkan Sol 熊本のチームリーダーにネモ選手を抜擢した理由を教えてください。
西川 私たちはeスポーツ業界の中で知っている人がたくさんいた訳ではなかったので、他チームと同じように、ゲームに精通している人たちを集めるのは難しいのではないかという思いがありました。チームとしてどうありたいかを考えたときに、参加選手の人格形成や、選手としての活動を終えた後のキャリアも考えるべきだと思いました。そういったところも含めて、全体的にチームを見渡せて、若手にいろいろと教えてくれるようなリーダーとしてネモさんが相応しいと思いお願いしました。ネモさん自身も就職した経験があり、社会に揉まれながらeスポーツを続け、独立されています。ゲームだけではなく、後輩に理念を伝えていけるということも含めて、ネモさんと一緒に頑張っていきたいということでオファーさせていただきました。
――チーム編成はどのように進められたのでしょうか?
西川 若手育成の意味合いも込めてすでに活躍しているプロ選手にこだわるのではなく、トライアウト制度を利用して、若手選手を一人は発掘するべきだということにこだわってきました。若い選手に活躍する場を提供する意味でも大切だと思っています。勝ち負けだけを追求するのでは、eスポーツ、SFLを見たときに、成長するための力にならないと思います。私たちはどちらかというと、勝つためだけのチーム編成というより、次に繋がることを考えて、若手の登用を進めました。
――熊本出身の選手を起用する予定はありましたか?
西川 東・西日本代表を決定する大会だったルーキーズキャラバンでは熊本が2位になったこともあり、九州出身者を入れられないかという話をしましたが、まだプロライセンスを取れるまでには至っていないなど、最終的に見合う人がいなかったため、今回は少し熊本から離れた形でのチーム編成になりました。
――チームの戦いぶりをどのようにご覧になりましたか?
西川 あっという間に終わった感じがします。決勝に行けなかったことは本当に残念でしたが、トライアウトから抜けてきたヤナイ選手などの若手が活躍してくれたので、次につなげられるというメッセージは渡せたのではないかと思います。もちろん決勝に進み、もっと多くの人たちに見てもらうことも大事です。ただ、選手たちは非常にいい活躍をして、次なる人たちにチャンスの芽を渡せたという意味でも有意義でした。ただ勝ち負けではないと言いながらも、やっぱり勝てば嬉しいし負ければ悔しい。そこは難しいところだと思います。
――今回のSFLは初めてのオーナー制度ということもあり、注目度が高かったと思います。反響はいかがでしたか?
西川 まだファンは選手についているという印象は受けますが、熊本、九州、といった地元の応援を感じることができました。うちのチームとしても、2回ほど独自のイベントをオンラインで開かせていただきました。思っていたよりも多くの方が訪れてくださり、スタートとしては先が楽しみな応援をいただけたかなと思っています。
――ストリートファイターは歴史も長い分、ファン層も広がりますよね。
西川 そうですね。選手生命も長い気がします。ただ若い子たちにとって、8~32枠しかない中で決まった人だけが出場するのではチャンスは少なくなります。それはSFLのオーナーたちが集まる会議の中でも問題視されていて、若手の活躍する場をどうやって作っていくかが必要だという認識はみんな持っていますし、私も課題だと思っています。オーナー会議での感触でも、その点については皆さん賛同されていますね。