今後のテーマは「価値の創出」と「地元への還元」
――今回のSFLの結果を受けて、今後どのような形で事業を進めていかれる予定でしょうか?
西川 「熊本を盛り上げていこう」「日本全体を盛り上げていこう」という気持ちでスタートをしていますが、ボランティア活動ではないと考えています。そこに今後どういった価値を作っていくのかということも、ネモさんと思いを一つにしています。
――今後の事業にはどのような可能性がありますか?
西川 eスポーツ、SFLに末長いファンができてコミュニティが生まれるためには、バリューを提供しマネタイズしていくことが必要です。1〜2年で離れてしまう会社ばかりでは盛り上がっていかないと思います。熊本を元気にするための発信をするなど、有意義なお金の使われ方ができている状態が続く仕組みを作らなければいけません。最近は、熊本の中でも我々の取り組みに興味を持っていただいている会社さんを回らせていただき、少しずつではありますが、チームを応援してくださる方々が増えてきました。そういう方々との連携を通じて、しっかり根付いていけるようなチームにできたらいいなと思いながら進めています。
――SFL以外で、熊本でのeスポーツの活動はあるのでしょうか?
西川 定期的なオンライン大会を開催しています。コロナ禍でオフラインでの開催は難しいので、当面は月一回のオンライン大会で盛り上げていこうと考えています。また、今後に向けて、熊本のeスポーツ業界の人たちとも話し合いを重ねています。新しい地域おこしの手段として興味を持たれている市町村も多いので、eスポーツに触れる場は増えてきている気がします。大学などでeスポーツの大会を開くことをサポートすることがありましたが、「こんなに盛り上がるんだ」と見に来た学長が驚かれていました。我々は実はもう1チーム、LeGaime熊本というチームを運営しているのですが、そのチームにいる熊本の大学生をはじめ、再春館グループの活動に触れてくれた人たちが、将来的に一緒に働きたいと思ってもらえたら、セカンドキャリアという意味でも嬉しいですね。
――これからのSFLへの取り組みはどのように考えていますか?
西川 活動を広げる前に、SFLを掘り下げ、熊本、社会、選手に対して、いいサイクルを作るきっかけになればと思っています。そのためにも1年だけで終わろうというのではなく、2年間継続参戦した上で、どうしていくかを考えようと思います。体制については、SFLのリーグの方針やルールによって変わる部分もあります。昨年も参加チームのオーナー会議では「ドラフトから一人は獲ろう」、「若手のジュニアチームを作ってエキシビションマッチをしよう」というような声が上がっていました。こういうところにも意見を出すことで、より有意義なことができるようになりたいですね。
Information
『CAPCOM eSports 「ストリートファイターリーグ」から見るeスポーツの未来』
好評発売中!
著者:CAPCOM eSports
出版社:白夜書房
ゲームメーカー「CAPCOM」がeスポーツの取り組みについて綴る初の書籍。対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」のeスポーツ展開に取り組み、業界最前線を走り続けているCAPCOMが、現場目線からeスポーツについて語る。また、「ストリートファイターリーグ」に参画する企業8社へのインタビュー、CAPCOM社長・辻本春弘氏のインタビューも掲載。西川正明氏もSaishunkan Sol 熊本について語っている。
「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」とは一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)から発行される「ストリートファイターV」ジャパン・eスポーツ・プロライセンスを保有する世界トップレベルの選手たちがリーグ独自のチームを組み名誉や賞金を懸けて戦う公式チームリーグ戦で、2018年より過去3シーズン実施しています。
2021年の新シーズンでは、企業8社がチームオーナーとなり4人1組のオリジナルチームを編成してリーグへ参画するチームオーナー制を導入し開催規模を拡大しました。
全56試合と昨シーズンより大幅に試合数が増え、2021年10月よりオンラインライブ中継で開催し、リーグ本節ではポイントを競いあい、リーグ本節の上位チームが「プレイオフ」へ、そこからさらに勝ち上がったチームが2022年1月29日に開催された決勝大会である「グランドファイナル」にて優勝チームが決定し、本シーズンは大好評の中幕を閉じました。
次回「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022」の開催も決定しております。
