大きな拍手のみで5人のパフォーマンスに応える

基本的に山本幹宗はエレキ・ギター、加藤綾太はアコースティック・ギター、ベース藤原寛はエレアコ・ベース、ドラムの岡山健二は主にウッドブラシのスティックを使用し、ボーカルとアコースティック・ギターの峯田和伸を含め、5人とも座って演奏するスタイル。オーディエンスも座ったままで、歓声なし、大きな拍手のみで5人のパフォーマンスに応える。

セットリストは、峯田がひとりで弾き語りライブを行う時に歌うような、メロウな曲だけでなく、ファースト・アルバムに収録されているジャンクでハードコアな曲も、リアレンジした上で織り込まれた選曲である。

GOING STEADY時代からおなじみの曲から、2020年10月リリースの最新アルバム『ねえみんな大好きだよ』の曲や、それ以降に発表された最新シングルまで、全キャリアから選ばれた曲が、披露されていく。

曲に入る前に、峯田が、自分の好きな小説の一節を朗読したり、ドラムの岡山健二がボーカルをとる曲を設けたりするなどの、初めての試みも盛り込まれている。

コロナ禍以降、人と会えないような毎日で、自分のノドが歌うノドではなくなってきて、自分が自分じゃないような感覚になってきた。メンバーと、このツアーのリハに入って、スタジオで自分を取り戻している感じだった──。

というふうに、ライブの前半は、曲の合間にちょくちょくMCをはさんでいた峯田だが、中盤でキーボードのDr.kyOnが加わったあたりから、曲間を空けずに、次々と演奏に入るようになる。

後半では、まず峯田が立ち上がって歌い始め、その次の曲で、岡山健二以外の全員が立ち、さらにその次の曲では、座って観ていたオーディエンスが総立ちになった。