恋愛で一歩踏み出すことはすごく勇気が必要

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

日比 みんなで作品を作っていくという雰囲気があって、すごく熱のある現場でした。今まで、「こういう表情がほしい」とか「こういう心情でいてほしい」というように監督から教えていただいたことに合わせて撮影を進めていく現場が多かったのですが、今回はナオを演じる上で「今このシーンはどう思っている?」「どういうふうに演じたい?」など、監督が聞いてくださいました。

――日比さんの考えを尊重する監督さんだったんですね。

日比 初めての経験で最初は戸惑いもありました。伝えたいことがあっても上手く言葉にできなくて黙ってしまったり、「何て言ったらいいか分からないです」とはっきり言うこともありました。でも撮影を進めていく中で、どんどん伝え方もシンプルになっていきました。自分がどうしたいのか、どう感じたかを伝えればいいんだ、と。監督に甘えてしまった部分もありますが、そういう感じで伝えていました。そうやってコミュニケーションを取っていくうちに、ナオが自分の中で近い存在になっていったんです。すごく貴重な体験や勉強をさせていただいたなと思います。

――本作の撮影を経験したことで、新たな発見があったんですね。

日比 今までの台本の読み方、現場でのふるまい方といったものがガラッと変わったなと思います。もちろん今までの撮影現場で経験したことも大事なことばかりですが、一つの考え方にとらわれ過ぎていたのかもしれない、もっと自分を信じて、こんな可能性があるかもしれないと、手探りでもいいから挑戦してみることが大事なことに気付かされました。

――改めてドラマの注目ポイントを教えてください。

日比 「liar」もそうですが、登場人物の視点が男性目線になったり女性目線になったりコロコロ変わっていくドラマはなかなかないと思うんです。そこが面白いですし、見どころだなと思います。第三者の目線で人の恋愛を覗くのは、ちょっと気持ちがいいし、楽しいじゃないですか。切ない恋愛物語ではありますが、ナオも古川さん演じる出野さんも最後は前向きな気持ちで新しい出発をします。恋愛で一歩踏み出すことってすごく勇気が必要ですが、たとえどんな結果になったとしても、それはきっと自分の中ですごく大事な時間です。見ている皆さんに、そんな勇気が出る一つのかけらになればいいなと思います。