最初から完璧な人間などいない。失敗から学ぶ相手の目線に立つ大切さ
本作には石沢課長以外にも様々な癖のある上司たちが登場するが、石沢課長はあくまで“理想の上司”としてブレずにいるのが魅力。何が起きても動じることなく、芯の強さを持った人物だ。
他の上司と石沢課長の違いについて尋ねられると、反町は「会社という組織の中で、どうしても上司という立場から言わないといけないことがあると思うんですけど、石沢は過去の自分の失敗から学んだことで、部下の気持ちに立って話したりするようになったんですね」と答える。
ドラマでは石沢が若い頃にどのような苦い経験をして、「相手の気持ちに立つことの大切さ」に気づいていったのかも描かれていく。
「石沢の過去は観ていて胸が熱くなる話になっていて、僕も俳優として石沢が成長していく過程があったことで、より役に入り込むことができました」と反町は語る。最初から完璧な人物ではなく、未熟だった石沢の過去も本作の見どころの1つとなる。
石沢課長の部下・麦田も新入社員として何度も社会の壁にぶつかり、一生懸命乗り越えていく姿が映し出される。誰もが一度は経験する新人という役どころもあって、思わず応援したくなるキャラクター。本作には麦田の心の声が随所に挿入されていることもあって、観ていて感情移入しやすいようになっている。
福原は「麦田は頑張り屋だけど、不安で押し潰されてしまいそうにもなる普通の女の子なんです」と説明。だからこそ、「何かを始めたいけど、勇気が湧いてこないという人に、麦田と自分を照らし合わせながら観ていただけると嬉しいです」と声を弾ませた。
麦田の先輩である船木は横文字を多用する意識高い系という役柄。麦田に先輩風を吹かすのが特徴だ。しかし、中村は「初めての後輩に対して、船木はどんなふうに接していいのか分からない」と言い、その裏返しでそういった態度を取ってしまうと分析する。
「僕、中村海人自身も先輩になりきれていない部分があって、船木の気持ちはすごく理解できるんです」と語る。ドラマでは回を重ねるごとに船木も先輩としての在り方に変化が訪れて、頼りがいのある先輩へと成長していく。「自分の意見を押し付けるのではなくて、あくまで後輩にとってアドバイスになるように意見を伝えていく。これから先輩になる人もその部分を観て、共感していただければと思います」と力強く述べる。
監督の山田も本作を演出するにあたって、原作の世界観をしっかりと構築した上で、「特定の年齢層に偏らず、普遍性が強く、共感値の高いドラマにすることを心がけた」という。
「『今どきの若いモン』という言葉はいつの時代も繰り返し使われてきましたよね。新人の方にとっても、上司の方にとっても、この言葉に対して連想するものをドラマの中に散りばめて、幅広い年齢層に共感してもらえるようにしました」と、本作のポイントを語った。