4人で意見を出し合って、ひとつの作品を作る
――曲作りについてお聞きします。ユウスケさんとナオトさん、2人のソングライターがいる訳ですが、曲を作るときはどのように進めるのでしょうか?
ユウスケ 家で弾き語りで作ってメンバーに持っていくのが基本のスタイルです。ナオトはある程度アレンジして持ってくるんですけど、僕の場合はアレンジがほぼゼロの状態で曲の種だけ持って行って、そこからみんなで花を咲かせるような感じです。
ゆっきー 僕はベースなんですが、ナオトの曲はある程度イメージが固まっているものをもらうので、そのイメージに自分の考えたことを足して作っていきます。ユウスケさんの曲はゼロからアレンジを作る感じなので、こうしたらかっこよくなるなってものをそれぞれが持ち寄って、ユウスケさんがこうしたいってものと擦り合わせながらみんなで作っていきます。
ゆりと 僕はドラムなので、やっぱりテンポ感は大事だし、作り手はどうしたいのかなってことを自分なりに汲み取ってリズムを作っていきます。
ナオト 僕は、前は打ち込みとかでアレンジまで考えていたんですけど、作り込むとそれ以上のものが出て来なくなっちゃうなって思ったんです。なので、最近はユウスケと同じく素の状態で持っていくことが増えました。みんなでアレンジしながら、僕ひとりじゃ出てこない考えとかも曲にできたりするのがいいなと思います。
――曲が広がりを見せるところに、メンバー全員で曲を作る醍醐味を感じていると。
ユウスケ そうです。全部自分で決めちゃうと、自分勝手になっちゃうかもしれないし。4人で意見を出し合って、ひとつの作品を作るというスタイルでこれからもやっていきたいです。
――ここからオレンジスパイニクラブの歴史をお聞きします。地元のいわきで結成されたんですよね。
ナオト 2012年に結成しました。僕とゆっきーが同級生で、バンド組もうか?という話をして、ボーカルがいなかったので兄貴に歌ってよって言ったのが始まりでした。初ライブの話をすると、俺たち下手すぎて誰かのコピーができなくて、最初からオリジナル曲を3曲やったんです。何回かリハでスタジオにも入ったんですけど、本番で兄貴が1曲も歌えなかったんですよ(笑)。
ユウスケ 緊張しまくって(笑)。当時の僕は襟足だけ金髪のチャラついてる風貌だったのに、全然歌えなくてダサい感じでした(笑)。ステージで固まって、曲だけ鳴ってるインストバンドになっちゃって(笑)。当時ナオトがドラムだったんですけど、めっちゃニコニコして叩いてるの見てごめんなって思ったのを覚えてる(笑)。
ゆっきー ステージ降りたとき、何か言われました?
ユウスケ 覚えてないけど、言われたと思うよ。でも初ライブだったし、みんなそんなもんじゃない?ってポジティブに思ってた(笑)。
ナオト そしたら、次の人たちがめちゃめちゃ熱唱してたっていう(笑)。
ユウスケ アハハハ(笑)。そういえば、あれはティーンのイベントでしたね(笑)。
ナオト まさにゼロからのスタートですね。なんならマイナスからのスタートでした(笑)。
――バンドが固まったのはいつ頃だったんですか?
ナオト 高校3年生の頃に、ゆりとが入ってからバンドとして固まった感じがします。
ユウスケ 2014年4月だね。ゆりとが入った初ライブを下北沢のライブハウスでやったんです。
――バンド名を、現在のオレンジスパイニクラブに変えたきっかけは?
ナオト 一回抜けたゆりとが戻ってきたタイミングでThe ドーテーズからオレンジスパイニクラブに改名したんです。それが2019年1月でした。やっぱり、若気の至りでつけてしまったバンド名が嫌だったんですよ(笑)。二十歳になって、さすがにこれでずっとやっていくのは嫌だなって変えたんです。
ゆっきー オレンジスパイニクラブは、カニの名前です。俺が持ってきた深海魚図鑑からふざけ半分で提案したら通っちゃったんです(笑)。
――そうだったんですね(笑)。昨年メジャーデビューされましたが、そこでの変化はありましたか?
ナオト 最初は大きく変わるのかな?と思ったんですよ。もちろん環境は変わりましたけど、自分たち自身はそんなに変わってないですね。
ユウスケ それこそメジャーっぽい曲を作ろうとは思わないですし。
ナオト 今までの自分たちらしく行ければいいのかなって思っています。
――オレンジスパイニクラブに影響を与えたバンドを挙げるとすると?
ナオト 僕はTheピーズですね。
――90年代のTheピーズっぽいなってすごく思いました。
ユウスケ うれしいです。僕らも兄弟ですし、Theピーズの大木温之さんもTOMOVSKYさんと双子ですけど兄弟だってところもシンパシーを感じるんです。
――オレンジスパイニクラブの曲を聴くと、Theピーズはもちろん、サニーデイ・サービスなどの影響を感じる下北っぽいバンドだなって思いました。
ユウスケ 下北っぽいって初めて言われました(笑)。
ナオト うれしいです。
──ただ、Theピーズとはだいぶ世代が違いますよね。
ナオト そうですね。地元のいわきソニックのライブハウスの店長に「君たちはTheピーズを聴いた方がいいよ」って言われてそこから兄弟でハマったんです。シンプルなサウンドで、歌詞がいいなと思ったんです。
ユウスケ やるせなさが出てるというか。
ナオト 自堕落さもあるし。自堕落でもいいんだなみたいに思えて、すごく好きになりました。