若いときは自分の価値観に合わないものへの拒否反応がすごかった

――全5章中、第4章までは、いつコンビ解散してもおかしくないほどKAƵMAさんとは一触即発でハラハラする展開でした。

村上 「仲悪コンビ」だと証明する内容になっていましたよね(笑)。

――本の構成は書いた時期がコロナ禍であることも影響していますか?

村上 コロナ禍で書いてなかったら、この着地になっていません。小綺麗に自分の半生を起承転結の形で書いても、だれてしまうというか、克明に描くことが一番いいんだろうなと。正直それほど構成は練っていませんが、プロットにはかなりの時間をかけて何回かに分けて考えていきました。編集の方や吉本の書籍担当の社員さんと雑談を交えながら話して、象徴的なエピソードを繋げていきました。

――最初にnoteで書いたものとはまた違った内容になっているんですね。

村上 noteとはがらっと変わりました。noteに書いたときは「ですます調」でしたし、もっとエピソードトーク的に書いていたと思います。この本に関しては真逆というか、そのときの自分に立ち返って、そのときに見たものを、読んでいる人に伝えなきゃいけないと思ったんです。自分が大事にしたもの、譲れないものなど、なんとなく人に話したり思ったりしていたことを、書くことによって、改めて自分の気持ちを取捨選択できた気がします。これは忘れちゃいけない、大事にしたほうがいいんだな、と。書かせていただいた方々への想い、存在のようなものを再確認できたのは収穫でした。

――又吉さん、マンボウやしろさんといった先輩芸人をリスペクトしていることも綴られていますが、お二人とも文章に定評のある方です。

村上 知らず知らずのうちに自分のフィルターに引っかかってくれた人を、無意識に尊敬したり好きになったりするところがあります。感性に刺激を受けたり、共感したりして、「この人に話を聞いてもらいたい、自分のことを分かってもらえているかもしれない」と思える人です。やしろさんが過去に組んでいたカリカさんにはNSCに入る前からテレビで見て知っていたんですが、そのときからネタを通して共感するところがありました。

――逆にNSCの一部の講師の方についての記述は、かなり辛辣です。

村上 当時の自分の気持ちで書いてしまうと、その人の人格を否定するというか、嫌いなんだと映ってしまうかもしれません。振り返ってみると、その方々は講師として僕らのために毎回授業でいろんなことを考えたり、提案してくれていたりしたんだと思えます。ただ当時の僕は若いし尖っているし、自分の価値観に合わないものへの拒否反応がすごかった。その時代に立ち返って書いているので、デビュー早々ダメ出ししてくれた人に対しても、反骨心がありました。今思うと、その人は「こう思ったから、こう言ってくれたんだろうな」と理解できます。ただ、何でもかんでも綺麗事で、今の思いで書いてしまうと読んでくれる人も共感してくれないと思ったので、そのときに感じた負の部分はそのままに書きました。