ウケるという感覚は中毒性がある快感

――KAƵMAさんは今回の書籍のことをご存じですか?

村上 知っています。特に話してはいませんが、スケジュールも共有していて、「書籍打ち合わせ」と入っていたら、「こいつ何か書き始めているのかな」くらいは思っているだろうし、人伝てに聞いていると思います。実際、その話が池田の耳に届いて、トークのときに「こいつ自分をなんだと思っているか分かんないけど、自伝的エッセイを書くらしい」という感じでいじってきたこともあります。

――KAƵMAさんは読むと思いますか?

村上 たぶん池田は一生読まないと思います。仕事のためにネタの一つとして読む可能性はありますが、あいつの性格やスタンスからして、僕の本のために時間を割かない気がします。僕自身、池田が一人で出ている番組のオンエアは見るものもあれば見ないものもある。それと池田も変わらないだろうし、面白そうだなって感じたら手に取ると思います。

――数年前、コンビの関係が良好とは言えなかったときに、KAƵMAさんに対する嫉妬心のようなものはありましたか?

村上 あったと思いますね。それはつきものだという気がします。本の後半に「池田とこれからもぶつかることがあるかもしれない」と書いていますが、まさにその通りで。お互いのことを、どのタイミングでどう思うかは分からないので、それは普遍的というか、変わらないものだと思います。

――しずるを結成して半年で一度コンビを解散していますが、それ以降、解散を考えたことはありましたか?

村上 ビジネスパートナーなので、解散という二文字が浮かんだことはないですね。それでも感情的になるのは、しずるを一人の芸人として良くしたいがために、お互いの理想、思惑がすれ違うからです。それは池田も同じです。不思議ですよね。恋愛なら、まだ出会っていない相手が見つかる可能性もあるし、仕事ではないから、嫌なら別れるという選択ができます。でもそれなりに芸歴を重ねていると、ピンになって仕事ができるのかどうかという危機感も大きいので、解散という選択肢はなかったです。

――しずるのように両方がネタを書くコンビは珍しい気がします。

村上 他にいないんですよね。YouTubeでもKAƵMA作・村上作みたいにしていますが、それを強みにしているところがあります。それを池田は、『アメトーーク!』の「しずる池田大好き芸人」で「いびつな関係」と表現していましたが、しずるのことを深く知ろうと思わない限り、「なんでなん?」で終わると思うんです。でも伝わりづらいのが僕ら「しずる」というコンビなのかなと思っています。

――コンビを組んでいる以上、ネタの作風が似てきてもおかしくないと思いますが、お二人はそれぞれ違った作風ですが、実際のコントを見ると、しっかりと「しずる」ですよね。

村上 自分がやりたいことを純粋に濃くやっていこうと思ったら、僕もあいつもはっきり変わった毛色になっていく気がするんです。それでも似てくるというのはコントをする上での演技とか間とか、「この感じで二人でやったほうがお客さんに伝わりやすい」といったトーンじゃないですかね。

――最後に進路を検討しているティーンに向けてメッセージをお願いします!

村上 芸人がよくする話ではありますが、僕は楽屋にいる時間が楽しいんですよね。嫌なことがあったり、池田と上手くいかなかったり、スベったりしても、お笑いが好きな者同士が楽屋に集まると、ある意味そこはオアシスで、それがあるから続けられているところが大きいんです。あとウケるという感覚は、他者からのリアクションで得られる感覚の中でも、相当な気持ちよさがあります。言い方は悪いですが、麻薬的な快感です。これほど病みつきになる、中毒性のある快感は他にありません。ティーンの皆さんにお伝えしたいのは、自分にとって代えがたいものが一つでもあれば、失敗したり、悲しかったり、悔しかったり、どん底できつい時期があっても、それに救われます。それが僕にとってお笑いですが、学業でも仕事でも何でもいいです。自分が何かを発信したとき、何かをしているとき、誰かと一緒にいるときに感じる快感は必ずあるはずだと思って生きていれば、くじけることのほうが多くても、希望はあるはずです。

Information

『裸々(らら)』
2022年3月25日(金)発売

著者:しずる・村上純
イラスト/デザイン:WALNUT/名久井直子
定価:1,870円(税込)
発行:ドワンゴ
発売:KADOKAWA

公式サイト

村上純(

お笑い芸人

1981年1月14日生まれ。東京都出身。NSC東京校9期生。2003年、池田一真(現・KAƵMA)と「しずる」を結成。「キングオブコント」決勝進出などの活躍によりコント師としての実力が認められるほか、ドラマの脚本を担当するなどマルチに活躍し、書籍においてもこれまで計4冊を出版。

Photographer:Tomoaki Isahai,Interviewer:Takahiro Iguchi