「ゴッドタン」は収録が終わった後に険悪な空気になっていることも多々ある
――『敗北からの芸人論』には東野さん、小籔千豊さん、加藤浩次(極楽とんぼ)さんといった先輩芸人も取り上げられていますが、こちらはどのような基準で選ばれたのでしょうか。
徳井 だいたい1本のコラムで4000~5000字も書いているので、お世話になったり、直接的に絡みがあったりする人以外は、失礼にあたるので書けないということはありましたね。
――先輩のことを書くのはなかなか勇気が必要なのでは?
徳井 先輩については「ありがとうございました」という感謝状を書いているだけなので、逆に後輩のほうが怖かったですね。後輩からすれば、「感謝状を書かれても知らんがな」と思われる可能性があるので、緊張しました。
――バラエティ番組そのものや、プロデューサーについても言及されています。
徳井 「ゴッドタン」の佐久間(宣行)さんも、「ロンドンハーツ」や「アメトーーク!」の加地(倫三)さんも、番組に呼んでもらったことはありますけど、全然しゃべったことはないんですよね。僕が勝手に想像して書いているだけです。たとえばこれは本には書いていませんが、「アメトーク」や「ロンハー」は楽屋にあるドリンクやお菓子の量が多いんですよ。お茶、水、炭酸、しょっぱいものみたいに、考えられる可能性について最大限考えてくれる番組はやっぱり面白くなるんだなと客観的に思うんですよ。そういった愛がある番組は面白いですよね。
――徳井さんは「ゴッドタン」の腐り芸人セラピーで新たなフェーズに突入したなという印象ですが、最初はどういう心構えで番組収録に臨んだのでしょうか。
徳井 千鳥のノブさんから「『ゴッドタン』は特別な番組だとスタッフに言われたから死ぬ気でやった」と聞いて、しばらくして腐り芸人セラピーのオファーが来ました。だから、スベッてもいいから、とにかく自分が言いたいことを言おうと決めて出ました。だから今でもヤバい空気になるんです。「ゴッドタン」は編集が天才なので、全て面白く映っているかもしれませんが、1時間半ぐらい撮って、僕は30分スベリっぱなしということも多いんです。でも、行く!って決めているから行ってます。だから芸人さんの何組かはマジで僕のことを嫌いになっていると思います(笑)。収録が終わった後に険悪な空気になっていることも多々ありますから。ハライチの岩井(勇気)くんやインパルスの板倉(俊之)さんはお笑いにしているのでいいですけど、僕は本音を言っているので、逃げるように帰っています……。