「真似メイクのかじえり」という肩書きに縛られたことも

――メイクを始めたのはいつ頃でしょうか?

かじえり 中学3年生のときです。学校にはしていかなかったけど、家でやっていました。その頃は、お風呂の前にたくさん練習していましたね。髪の毛を切るとなると、失敗したら伸びるまでに時間がかかるじゃないですか。その点メイクは落とせばゼロになるから、失敗を怖がらずにいくらでも練習できるんです。

――当時からメイクが大好きだったんですね。

かじえり 14歳でメイクを始めたときからメイクアップアーティストになるのが夢で、その後は、美容系の高校のメイク学科に進学しました。ずっとメイク一筋で、他の道は考えたことがありません。

――メイクアップアーティストというと、芸能人やモデルさんにメイクするお仕事を志望していたのでしょうか?

かじえり そうです。最初は、自分がこういうふうに顔出しして発信するとは思っていませんでした。今みたいに発信するようになったのは、高校生のときに流行っていた「Decolog」というブログがきっかけです。Decologに日常をアップしていたんですが、そこに「このコスメを使ってメイクしました」と写真を載せたら反響があって。そのうち、今で言う「バズる」体験をしました。それまでは1日のアクセス数が2~3万だったんですが、バズったときは200万くらいあってドキドキしましたね。 それ以来Decologのランキングにランクインするようになり、たくさんの方に知っていただけました。

――高校生で一躍有名になったんですね。

かじえり はい。専門学校生のときはアメブロでブログを書いていて、芸能人の真似メイクをブログに載せたら、ワタナベエンターテインメントという芸能事務所からスカウトされました。「本を出さないか?」と「うちに所属しないか?」の両方です。それが私の転機ですね。それまでは、裏方のヘアメイクとして就職するつもりでした。でもスカウトされたことで、「多くの方にメイク術を発信するのが自分の役割なのかも」と思って。それから今のスタイルで活動しています。

専門学校卒業後の進路を決めるときはいかがでしたか?

かじえり 進路選択では悩みませんでしたが、メイクアップアーティストとしての悩みはたくさんありました。というのも、「真似メイク」はどうしても似てる・似てないだけでジャッジされてしまうので、私が本当に伝えたいことがうまく伝わらなかったんです。私が伝えたいのは、たとえば「ここをこうすると、石原さとみさんっぽく可愛くなれるよ」といったメイクの効果。それなのに、ただ「似てることだけが正義」のエンタメにカテゴライズされちゃって……。自分が本当にやりたかったこととのギャップに悩みました。

――「真似メイク」が独り歩きしてしまったんですね。

かじえり いつの間にか「真似メイクのかじえり」という肩書きに自分自身が縛られてしまって。真似メイクをやってきた経験はもちろん誇れることですが、そればかり求められるのは辛かったですね。

――どうやってそのジレンマを乗り越えたのでしょう?

かじえり YouTubeで真似メイクを更新せずに、メイクの基礎や自分のメソッドを発信することで、だんだんと「真似メイクのかじえり」から脱却できたと思います。だから今回、真似メイクがテーマじゃない本を出すことができたのはすごく嬉しいです。自分がここまで頑張ってきた証というか、ステージががらっと変わった気がしています。