プレッシャー以上に「燃えるぜ!」って気持ちが強かった

――清水さんは以前から将来の夢としてアニソンシンガーを挙げていますが、ソロデビューシングルのリリースが決まったときは、どんな気持ちでしたか?

清水 率直に「え!? 私が?」みたいな信じられない気持ちでした。今までソロ曲を2曲出させていただいたんですが、どちらも配信でした。今回はCDで出させていただくということで、形に残るものでファンの皆さんに届けられるのが嬉しかったです。

――虹コンメンバーの反応はいかがでしたか?

清水 隠していたわけではないんですけど、自分から「ソロデビューするんだよね」と言えなくて、ソロデビューすることを直前までメンバーに言ってなかったんです。『虹のコンキスタドールが本気出しました!?』(BS11)という番組で、占い師さんに私の2021年の運勢を占っていただいたら、「ソロ活動をしたほうがいい」と言われて。そのときに初めて「実はソロデビューすることが決まっているんです」と言ったら、メンバーが「え~! そうなの?」と(笑)。すごく喜んでくれて、「おめでとう」と言ってくれました。

――プレッシャーはなかったですか?

清水 今、自分ができる最大限以上に頑張らないと次に繋げられない。このソロデビューシングルを第一歩にしたくて、プレッシャー以上に「燃えるぜ!」って気持ちが強かったです。

――虹コンとは歌い方も違います。

清水 全然違います。虹コンはメンバー全員に歌割りが振り分けられる形になっているんですが、レコーディングでは1曲まるまる歌います。なので、どこを切り取られても自分の個性を出せるように、できるだけ全部の箇所にニュアンスをつけるという意識で歌っていました。

――確かに虹コンでの清水さんは情熱的に歌い上げる印象が強いです。

清水 ソロで全部にニュアンスをつけることはできないので、ここは感情を出しすぎないように抑えようとか、ここは全力で歌おうとか、いろいろな工夫をしました。難しかったですが、表現の幅が広がったかなと感じました。

――1曲ずつ曲紹介をお願いしたいんですが、まずはリード曲の「あなたへ」。

清水 映画『お終活 熟春! 人生、百年時代の過ごし方』(2021年5月21日より全国ロードショー)のエンディングテーマなんですが、大切な人を思いながら聴いてほしい曲です。学生時代、身近にいる大事な人と言えば両親ですが、いるのが当たり前だから、なかなか親孝行しようとか思わないじゃないですか。

――むしろ、めんどくさい存在だったりします。

清水 反抗期だとなおさらですよね。でも、ネガティブな意味ではなく、今は当たり前のようにそばにいる人も、いずれいなくなるかもしれません。だから、何が起きても後悔がないように、大事な人との思い出を大切にしようという気持ちになれる曲になっています。私にとっての大事な人はファンのみなさんです。歌詞の中の「幾千の光が」がサイリウムの光だったり、「手を繋いだ日のこと」が握手会だったり、そういう解釈で歌っています。人それぞれ解釈は違うと思いますので、それぞれの気持ちを歌詞にあてはめて聴いていただければ嬉しいです。

――「ツグム。」は映画『真・鮫島事件』(2020年)の主題歌です。

清水 『真・鮫島事件』はホラー映画なんですが、都市伝説をモチーフに謎解き要素もあって、ホラーが苦手な人でも見られると思います。私自身、ホラー映画は苦手なので、試写会のときも怖くて仕方がなくて、指の隙間から見ていました(笑)。「ツグム。」は私の得意なロック調の曲で、映画に即した歌詞になっていて、映画を見ていただくと歌詞の理解が深まります。

――「Colorful~あなたといた時間~」は清水さんのソロ曲で、こちらも映画『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』(2018年)の主題歌です。

清水 和歌山オールロケの映画でした。私も地元が和歌山なので、その繋がりで歌わせていただき、ちょっとだけ映画にも出演させていただきました。曲はバラードなんですけど、この映画を少しでも盛り上げられるといいなと思いながら、心を込めて歌わせていただきました。夢や目標に向かって進んでいく人の背中を力強く押すような曲になっています。これをきっかけに、和歌山市観光発信人にも就任させていただき、思い入れの深い1曲です。

――「Colorful~あなたといた時間~」から「あなたへ」まで、約3年間の月日が流れていますが、自分自身で歌い方の変化は感じますか?

清水 「Colorful~あなたといた時間~」のときはバラードを歌うのも初めてだったので、どうすればいいのか分からない状況でした。もちろん練習をして、工夫もしたんですけど、すごく苦戦しましたし、「もっと、こうできたのにな」という反省点もありました。当時は力強く歌うことしかできなかったんですよね。「あなたへ」は、作曲家さんと話をしながら自分なりに歌い方も考えて、いいものが作れましたし、成長を見せられたのではないかと思います。