解散コンサートから始まる物語

昨年、中野プラザで開催した「春しめじのお花し」が装いも新たに帰ってきた。小説演劇とライブが合わさった新感覚エンターテイメントと銘打った公演は、田中雅功が今回のために書き下ろした台本、そして小説家の中村航がアドバイザーを務めるなど、クオリティーに一切の緩みを感じさせない覚悟が伝わってくる。

公演は、さくらしめじの「ラストコンサート」のシーンから始まる。さくらしめじの1stミニアルバム『さくら〆じ』収録の「みちくさこうしんきょく」を歌い終え、「僕たちの音楽はこれで終わりです。今までありがとうございました」。そう言う彪我の顔は明るいが、雅功はどこか暗い表情のままで、この結末に納得がいっていない様子。

セットが変わり、田中と高田がルームシェアをしているアパートの一室に場所が変わる。二人で朝食をすませた後、引っ越しの話を切り出す彪我。一週間後には、彪我は部屋を出ていくという。

新たな生活に向けて胸を弾ませる彪我とどこか気分が乗っていない雅功。よく見ると、部屋の壁には「売れる」「全国制覇」といった二人が書き出した目標や、たくさんの写真が飾られており、この部屋が二人にとっての思い出が詰まった場所であることが分かる。

大学へ行く準備をする彪我に、「家出るまで時間あるでしょ?」「一曲だけ歌おう」と呼び止める雅功。渋る彪我にギターを持つよう促し、「行くぞ!」の掛け声とともに歌い出したのは「てぃーけーじー」。軽快なサウンドに彪我も少しずつノリノリに……。

その表情を読み取ったのか、「もう一曲やろうよ!」と「Iroto-Ridori」へ。サビでは雅功が彪我の肩に手をかけて、二人楽しそうにステップを踏む場面も。そのままアップテンポの曲調で畳みかけるように「たけのこミサイル」。彼らのテンションに同期するようにライトも激しく明滅する。「楽しいでしょ?」。嬉しそうに雅功が問いかけると、彪我も思わず「時間を忘れるぐらい楽しかった」と返す。

そんな彪我に相談があると雅功が何か言いかけるが、彪我は大学へ急がなきゃと、それをさえぎってしまう。そもそもバンドの解散を提案したのは彪我。そんな彼に対して音楽への未練を抱えている雅功はまだ納得がいっていない。気持ちを切り替えようとしている彪我のすれ違いが伝わってくる。