気軽にエンタメとして楽しんでほしい

――これまでたくさんの青春小説を書かれてきた武田さんですが、『世界が青くなったら』では恋愛というテーマを中心に扱われました。ご自身の中で新たな発見や難しかったことはありますか?

武田 この作品にはいろんな仕組みがあるので、それをどう読みやすくして、どこに恋愛要素を入れるかという落とし込みが難しかったです。

――主人公の佳奈や友人の茉莉が自分の将来について悩む姿も描かれています。登場人物たちにご自身を重ねる部分はありましたか?

武田 すべてのキャラクターにちょっとずつ投影しています。高校生や大学生の頃は進路について悩むと思います。私自身の「悩んでいたあの頃」という要素は含まれていると思います。

――友人の茉莉は小説を書いて投稿しているというキャラクターですが、彼女が小説家になるのを諦めようとするシーンもあります。

武田 自分がそうなっていた可能性もあると思います。やっぱり、賞を取ってデビューするには運の要素も大きいです。自分の場合は、たまたま良い流れに乗れただけで、小説の中ではそういう部分を意識しました。

――それぞれの選択が分岐点となるパラレルワールドが描かれていますが、「あの時こうしていなかったら」という武田さんの分岐点はありますか?

武田 一番大きいのは、東京に出るか出ないかの選択だったと思います。別に東京でなくても作家を続けることはできるけど、大学を卒業した直後にノリと勢いで上京したんです。すぐに大きな変化はありませんでしたが、仕事のチャンスの数が全然違ってきます。今では、東京に出てきて良かったと思っています。

――改めて、これから『世界が青くなったら』を読む読者に見どころを教えてください。

武田 イメージとしては、王道の恋愛ファンタジー小説だと思っているので、胸キュンしたい子にはおすすめです。あまりファンタジーを読まない人でも、すっと世界観に入って楽しんでもらうことを意識して書いたので、本が苦手な子にも手に取ってもらいたいです。この本は誰もが考える「もしも」がたくさん出てきます。学生時代は「もしも」だらけだと思いますが、悪いと思っていた選択肢が意外と良かったりする。そういう選択肢の自由さを感じ取りつつ、気軽にエンタメとして楽しんでもらえたら一番嬉しいです。