将来は小説を書くと決めていた

――武田さんが小説を書かれるようになったきっかけを教えてください。

武田 小学生くらいの頃から、自分は小説家になると思い込んでいました。『ハリー・ポッター』シリーズが好きでよく読んでいたのですが、気付いたら自分も小説を書くようになっていました。

――当時からエンターテイメント小説を書いていたんですか?

武田 私は小説でもゲームでも、ありとあらゆるコンテンツが大好きなんです。だからエンタメにこだわりはなかったのですが、幅広い人に読んでもらいたいという気持ちはありました。小説っていうだけで堅苦しいとかあまり気軽に読めないものだと思ってしまっている人もいます。そういう人たちへ向けて「本って、ただ楽しむだけで良いんだよ」って言いたくて。どんな本でも、何が好きでも良いんです。

――武田さんは『響け!ユーフォニアム』シリーズなど、ご自身の体験をもとにした小説をたくさん書かれています。学生時代に印象的だったエピソードがあれば教えてください。

武田 印象に残っているのは高校のときにやった演劇です。私の通っていた高校は、どのクラスも毎年一度、文化祭で劇やダンスをやります。その劇の脚本を任せてもらったことが一番の思い出です。それまでは友達に小説を書いていることを言えなかったのですが、脚本を書いたことがきっかけで言えるようになりました。

――どんな内容の脚本だったのでしょうか?

武田 学校の体育館でやる演劇なのに、殺人事件が起きたりするミステリー要素たっぷりな脚本でした。学校の中に急に殺人鬼が紛れ込んで、「一体誰があの子を殺したんだ?」みたいな感じで話が進んでいく。最後は拍手じゃなくて観ていた人たちの「キャー」という悲鳴で終わる異色の内容でした(笑) それでも最優秀賞をもらえたので、懐の深い学校だったと思います。

――すでに異彩を放っていたんですね。

武田 私が書いたのはほぼオリジナルの脚本でした。他のクラスは、元になる脚本のある演目をやっていたので、その点が評価されたのかもしれません。いい経験になりました。

――学生時代に、小説家以外の進路を考えたことはありましたか?

武田 小説家になっていない未来は考えられませんでした。会社員になったとしても、兼業で小説を書いていたと思うし、たとえデビューしていなくても小説を書いて賞に投稿し続けていると思います。小説家って、いくつになっても目指せるのですごく良いなと思います。

――小説を書いていると公言する前は、家でこっそり書いていたんですか?

武田 そうですね。学校ではむしろイラストなどの絵を描いていることが多かったんです。周りからはたぶん、イラストレーターを目指していると思われていたかもしれません。それで家に帰ると受験勉強からの逃避で小説を書いていました。ものすごい勢いで成績が落ちました(笑)。

――受験生あるあるですね。

武田 それでも、今みたいにそこまでSNSが発達してない時代だったのがまだ幸いでした。Twitterもそこまで流行っていなかったから、勉強からの逃避はもっぱら本を読んだり書いたりすることでした。今はスマホでSNSもYoutubeもなんでも見られるので、受験生はいくら時間があっても足りないだろうと思います。