その時々にインプットできて、やれる時にアウトプットできることが大事
――4人の音楽性は最初から共通していましたか?
AKUN 今もバラバラですね。
――結成当時は音楽性でぶつかり合うこともありましたか?
KENNY ありました。でもいいぶつかり方というか、ポジティブなものでした。曲作りも、メロディーや歌詞は僕が担当していますが、ジャンルやテイスト、アレンジなどは4人で決めていきます。
――それぞれ違うバンドを経て、この4人に落ち着いたのはなぜだと思いますか?
KAZUMA いまだに合っているとは思ってないですけどね(笑)。
PETE ただKENNY が「この曲いいよね」と言うものは、みんなも「いいね」となります。もともとKENNYはサーフィンをやっていたし、「サーフミュージックという方向性もありだね」という点で意見も一致していました。音楽性はバラバラでも、ブルーノ・マーズなど4人が共通して好きなアーティストも何組かいて、それでまとまったというか、そこからいろんなジャンルを取り入れるようになりました。
AKUN 僕たちは毎回の作品で新しいものを取り入れたいと思っているので、活動していくうちに、だんだん柔軟になっていきました。一つのジャンルに特化するのもいいと思いますが、たとえばR&Bやファンクにめっちゃ強いバンドというと、もっとすごい人たちがいますからね。あえて特化したくないという気持ちもあるから、いろいろな要素を入れていきますし、そういう柔軟性こそがSPiCYSOLなのかなと思います。幅広い音楽をやってきた一方で、ちゃんと芯があるからこそ、今回『Bell』のお話もいただけたのかなと。
――SPiCYSOLはメロディーのキャッチ―さも大きな魅力です。
KENNY 大きいジャンルで言うと、J-POPにはちゃんといたい。その気持ちは結成当初からありましたし、そこはメジャーに行っても変わらないです。
――2021年4月にメジャーデビューしましたが、コロナ禍の中での活動はいかがでしたか?
AKUN ツアーをはじめ、活動は制限されましたが、それはどのアーティストも同じこと。コロナ禍でアウトプットする場所はなかったものの、各々を見つめる時間をすごく取れた気がします。一人で曲を作るなど、インプットする時間が増えましたね。その時々で、ちゃんとインプットできて、やれる時にアウトプットできることが大事だったと思います。そういう意味では、僕個人で言うと茅ヶ崎に引っ越したこともインプットになったと思います。「Playback」の元になったギターリフも、茅ヶ崎に引っ越した最初の夏に、サーフィンで海に入っている時にパッと思いついたフレーズです。実際に形になるまで時間はかかったけど、そうやって活かされたということは、コロナ禍でも意味のある時間を過ごせていたんだと思います。
――メンバーと会えない期間もあったかと思います。
KENNY ステイホーム真っただ中の時期は、同じ町内なのに2~3ヶ月ぐらい会えなかったし、リハも半年くらい空きました。そんなことは結成して初めてのことでした。久しぶりにみんなでスタジオへ行って、バン!って鳴らした音が、もしかしたら結成して一番いい音だったかもしれない(笑)。
AKUN エモーショナルだったよね(笑)。
――最後に音楽の世界を目指している読者にメッセージをお願いします。
KENNY 今流行っている人、長く音楽を続けている人、ライブミュージシャン、SNSミュージシャンなど、どういうアーティスト像を目指すかで売り方も売れ方も変わってくると思います。でも最初は、何をやったらいいのか分からないし、僕自身も分からなかったですが、まずは好きなものを徹底的にやりこんでいったら、2歩3歩ずつでも進んでいけます。後はマーケティングを勉強するといいと思います。昔だったらCD屋さんでディグらなければいけなかったのが、サブスクのおかげで、流行っている曲を含めて膨大な量の音楽を聴けるし、アルゴリズムで自分の好きそうな曲もオススメしてもらえます。ライブのパフォーマンスにしても、YouTubeで格好いいものを無限に見れますからね。そういったものを、めちゃくちゃ見たり聴いたりしていくうちに、売れている人たちに共通しているものが、何となく自分のフィルターを通して分かってくるので、いろいろな音楽に触れてほしいですね。
Information
Digital Single
『Bell』
好評リリース中!
●収録曲
M1.Bell(ドラマ「ねこ物件」主題歌)
M2.Coffee And Tea(ドラマ「ねこ物件」挿入歌)
Digital EP
『TWO』
2022年4月29日(金)リリース!
●収録曲
M1,Playback
M2.Far Away
M3.Traffic Jam (AmPm Remix)
【ライブ情報】
「73machi Live in Yokohama Bay Hall」
日時 2022/7/3(日) 開場 17:00 / 開演 18:00
会場 横浜 Bay Hall
チケット 前売り ¥5,500 / 当日 ¥6,000

SPiCYSOL
アーティスト
KENNY(Vo)、AKUN(Gt)、KAZUMA(Dr)、PETE(Key,Trumpet,Cho)による4人組バンド。2021年10月にリリースしたメジャー1stアルバム『From the C』はiTunes R&Bチャート1位を獲得。Spotify&Apple Musicでの人気プレイリストにも数多くの楽曲が選曲され、これまでのストリーミング総数は1億再生を超える。湘南茅ヶ崎から発信する彼らの楽曲は、ソウル・ファンク等のブラックミュージックを昇華させ、ボーカルKENNYのメローな歌声により、唯一無二のコントラストを生みだしている。
Photographer:Yuta Kono,Interviewer:Takahiro Iguchi