オーディションに遅刻して補欠合格
――今年4月2日放送の「マツコ会議」(日本テレビ系)で、つぶやきシローさんが特集されましたが、「高校時代は一度も学校のトイレに行かなかった」というエピソードが強烈でした。
つぶやきシロー 高校に入学して1週間ぐらい経って、「そういえば、トイレ行ってねえな。これ、3年間続けられるんじゃね?」って思ったら続けられたんです。まあトイレがセミ不良の溜まり場で入りにくいというのもあったんですけど、自分に対するひとつのゲーム感覚でした。自転車通学にしても、みんなが電車で通っている中、「自分は絶対に自転車で通うんだ!」って変なこだわりがありました。
――何か一つ決めると絶対に貫き通すという面があるんですね。
つぶやきシロー そういえば僕らの中学・高校時代はおニャン子クラブというアイドルグループが全盛期で、彼女たちやとんねるずさんが出ていた「夕やけニャンニャン」という番組が夕方17時からやっていたんです。当時は家にビデオデッキがなかったから生放送で見るしかなくて、ダッシュで家に帰っていましたね。
――お笑いが好きになったのは、とんねるずさんの影響が大きかったんですか?
つぶやきシロー 高校・大学時代とそうでしたね。とんねるずさんのテレビを壊す感じ、あれに憧れて芸能界に入ったけど、芸風を間違えちゃった(笑)。当時のお笑い業界は僕に限らず、とんねるずさんになりたいって憧れで入ってくる人たちの集まりでしたね。
――どういう経緯で芸能界入りしたのでしょうか?
つぶやきシロー 芸能界に入りたくて、就職課には何の報告もせずに、卒業証書ももらわず、大学を卒業してそのまま東京の風呂なし・トイレ共同のアパートに引っ越してきて、1年ぐらい適当にバイトをしていました。当時はネットもないから、どうやってデビューしていいか分からなかったんですけど、たまたまオーディション雑誌『De☆View』の存在を知って。お金もないから毎月立ち読みをしていたら、ホリプロオーディションの募集記事があって。それで初めて『De☆View』を買って応募したんです。
――どうしてホリプロのオーディションを受けようと思ったんですか?
つぶやきシロー 吉本さんでもオーディションはあったんですけど、吉本さんの場合、当時は「3分ネタを持ってきてください」みたいなことが書いてあったんです。でもホリプロは「ネタを書いてきてください」とは書いてなかったし、合格後にお金もかからないと。当時から吉本さんや人力舎さんはスクールがありましたけど、僕には払う学費がなかったんです。それでホリプロに書類を送ったら2次審査に進んだんですけど、その段階から「1分間のネタを作る」という課題があったんです。だから1週間で、大慌てで作ったダジャレみたいなネタを持って行きました。ところが僕は2次審査に遅刻したんですよ。
――どうしてですか?
つぶやきシロー たまたまホリプロ前で中学時代の友達に会っちゃったんです。心細いから話しかけて、気付いたら集合時間が過ぎていたんです。それでも受付を済ませたら、ピンのオーディションには間に合いました。それでネタをやって、合格発表を聞いたら僕は呼ばれなかった。ところが「補欠だけど4番の奴いるか?」と、僕の番号が呼ばれたんです。それで他の合格者と一緒に別室に呼ばれて、「君らは合格だから頑張るように。特にお前は遅刻したのに入れてやったんだから頑張れよ」と声をかけられました。この業界は遅刻にうるさいから、「オーディションに遅刻するような奴は仕事も遅刻する」ということで、普通は落とすんですって。でも僕はネタが良かったらしく、補欠合格になったんです。
――初めて作ったネタが評価されたんですね。つぶやきさん自身、その時のネタに自信はあったんですか?
つぶやきシロー オーディションでネタ見せをした時に、どう見てもここでは僕が一番良かったなという自信はありました。ネタはしょうもなかったですけど、周りが酷過ぎたんですよ。だから合格発表で呼ばれなかった時は、「あれ?」と思ったんです。そのまま補欠合格の発表を聞かずに帰っていたら、芸人を諦めて田舎に帰っていたかもしれませんね。