自分の直感に従ってやってみようと思ったことを一生懸命やる

――俳優として活動していく上で大事にされていることや、気をつけていることはありますか?

村井 普通の価値観を持つことです。俳優は普通の価値観を持っていないからこそできる職業でもありますが、今は価値観がすごく変わっていってる時代なので、何が普通か分からなくなってしまいがちです。たとえばバイトをして給料をもらって、その給料からいろいろ計算して、家賃や食費を引いて、普通に生きていく上での必要なラインってあるじゃないですか。その普通のラインの価値観を必ず知った上でやらないとダメだなと思っています。

――俳優という特殊な職業をしているからこそ、普通から離れないようにということでしょうか。

村井 そうですね。俳優の仕事って、会社に勤めている方の仕事内容とは違うところがありますよね。でもそういう方たちの価値観を知っておかないと、その役にはなれない。大勢の人たちがそれをやって、生きている訳ですからね。たとえば営業職の方だったら、名刺交換の仕方とか、外回りの仕方とかあるじゃないですか。今お仕事でカメラマンの役をやっているんですけれども、カメラマンの方がカメラをどう扱うかを、意識的に見るようにしています。「カメラマンさんは普段こう休んでいるのか」みたいな、細かいところまで知っておかないと、演技が表面的になってしまうので、すごく気をつけていますね。

――まさに今回のパティシエ役もそうですね。

村井 そうですね。パティシエ役だったらパティシエの方の動きを知ること。その職業の方たちの普通を知らないと、僕らは演技ができないんですよ。実際にパティシエさんのことを全然知らない人が演技していると、嘘が出てしまう。やはり本職の人たちに「あれはよかったよ」という風に言ってもらえるのがベストではあるんですが、なかなか難しいです。

――そういった普通の価値観は、どのようにして学んでいますか?

村井 やはり知ることから始めます。いろんな働いている人たちの動きなどを見て勉強しています。そんなときに、まだまだ自分は青いし、何も知らないんだなということを痛感させられるというか……。知らない世界がたくさんあるからこそ今も勉強中ですし、一生勉強というのが、この業界では大切なことです。特に俳優は一生勉強して、何かを得ながら、何かを捨てて、何かをアップデートして、という風にしなくてはいけない。それが、新鮮でもあるんですけどね。

――常に勉強をして、自らを省みてということですね。

村井 僕自身、ごく一般的な普通の家庭で育ったので、その時の気持ちを忘れちゃいけないなと思いますし、芸能人が特別って訳ではないんだと。ただテレビに出て舞台に立って、人前で何かをやる人だけのことなので、そういう感覚は身近に置いておきたいなと思います。

――最後に進路を検討しているティーンにアドバイスやメッセージをお願いします。

村井 今、高校生の方は、大学に行くか、専門学校に行くか、それとも働くか、何か手に職をつけるか、海外に行くかなど、いろいろな選択肢があると思います。その中で、「果たしてこれが自分にとって一番いい選択なのか」と悩むことも多いと思います。ただ僕自身、今も将来に対する焦りや不安はあります。これは何歳になってもあると思うので、今すごく悩んでもいいし、一つに道を決めなくてもいいし、とりあえずバイトでもしようでいいと思います。これからやることに対して、無駄なことはひとつもないので、とりあえず自分の直感に従ってやってみようと思ったことを一生懸命やってみてください。

Information

劇場版『パティシエさんとお嬢さん』
2022年5月6日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー!
崎山つばさ 岡本夏美 / 増田俊樹 横田龍儀 越智ゆらの 古村比呂 / 村井良大

監督:古厩智之
原作:銀泥「パティシエさんとお嬢さん」(一迅社)
脚本:蒲田子桃・古厩智之
音楽:MOKU
制作:ビデオプランニング
製作:「パティシエさんとお嬢さん」製作委員会
配給:トリプルアップ
©銀泥/一迅社 ©2022「パティシエさんとお嬢さん」製作委員会

パティシエの奥野丈士は、毎週金曜日にスイーツを買いに来る女性・波留芙美子に恋をしていた。芙美子も丈士に好意を持っているものの、お互いに名前も知らず、奥手な2人は距離を縮めることができずにいた。丈士は関係を進めるべく奮闘するも、空回りの連続。そんなある日、芙美子の母親が倒れてしまう。実家との往復でお店に寄る回数も減り、2人の近づきかけた距離は再び開いていってしまうのだが……。

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村井良大

俳優

1988年6月29日生まれ、東京都出身。2007年『風魔の小次郎』でドラマ初主演。主な出演作は、舞台『RENT』『デスノート THE MUSICAL』『生きる』『ローズのジレンマ』『蜘蛛女のキス』『ミュージカル「手紙」2022』、映画『真田十勇士』『最果てリストランテ』、ドラマ『教場』『邪神の天秤 公安分析班』など。ドラマ『インビジブル』(TBS系)に出演中。今後は、音楽劇『スラムドッグ$ミリオネア』(8月1日〜21日 シアタークリエ、他)に出演予定。

Photographer:Hirokazu Nishimura,Interviewer:Ryoko Ozawa