『きさらぎ駅』はホラー映画が苦手な方でも楽しめる作品
――今回、恒松さんが主演した映画『きさらぎ駅』は、2004年にネット掲示板に書き込まれて広まった都市伝説を基にしています。このお話はご存知でしたか?
恒松 「きさらぎ駅」のお話は、本作のオファーをもらったときに初めて知りました。私は都市伝説などに疎くて、「きさらぎ駅」が有名なお話だということ自体知らなかったんです。
――はすみと名乗る女性が乗った電車が、存在しない駅にたどり着き消息不明になるという都市伝説ですが、新浜松から乗車したり、伊佐貫トンネルを通ったりと、当時ネット掲示板に書かれた内容がそのまま出てくるところもあります。事前にネットで調べたりしましたか?
恒松 調べました。そういう地名とか、一通り何があったかとかは読んだんですが、もう怖くて!ネットの履歴とかも抹消しちゃいました(笑)。都市伝説って本当に起こりそうなんですよね。だから忘れないで覚えていたら、本当に起こっちゃいそうで……。
――恒松さん演じる堤春奈は、「きさらぎ駅」を卒論のテーマにして、はすみに会いに行く大学生です。意外にも今回が映画初主演とのことですが、お話をいただいていかがでしたか?
恒松 「主役で」とオファーをいただいて驚きました。自分の中の密かな目標で、22歳までに主演をやりたいという気持ちがあって。実際クランクインしたのが23歳の誕生日の2日前で、「よかった、ギリギリセーフ!」と思いました(笑)。22は私のラッキーナンバーなんです。そういう意味でも、すごく嬉しかったです。
――永江二朗監督はたくさんのホラー映画を撮られていますが、今まで監督の作品をご覧になったことはありましたか?
恒松 監督のことは存じ上げていたんですけど、作品をきちんと観たことはありませんでした。実は私はホラー映画を観るのが苦手で、避けていたところもあるんです。
――映画の依頼が来てから、永江監督の作品をご覧になりましたか?
恒松 同じネットの都市伝説を扱った、『真・鮫島事件』を観ました。都市伝説とは言っても『きさらぎ駅』とはちょっと違って怖かったです。出演前はもっとホラーを観ようと心がけていたんですが、怖くて難しかったです(笑)。清水崇監督の『呪怨』を観かけたんですが、「怖い!無理!」となって、挑戦はしたんですけど、なかなか……。
――『きさらぎ駅』は「怖さ」だけではない面白さも詰まっています。
恒松 そうなんですよね。インスタのコメントで「ホラーなのか、ごめん行けないや」とか、「私、ホラー苦手なの。ごめんね、つねまっちゃん!」みたいなコメントをくださるファンの方がいるんです。私は初号を観た後に、「面白かった~」ってポロッと心からの言葉が出ていたので、ホラー映画が苦手な方たちにも楽しんでもらえる作品なんじゃないかなと思います。
――ホラー映画という枠組みを超えるような、いろんな要素が入っていますしね。
恒松 いろんな仕掛けや面白さもありますし、FPS(First-person shooter)ゲームのような一人称視点の撮り方を取り入れているので、お客さんが体験できるホラーというか、テーマパークに行くような気持ちで楽しめるんじゃないかなと思います。