よりパーソナルで偏った“好き”の部分をちゃんと出したかった
――2020年3月に1st『!magination』、2021年3月に2nd『DAILY BOP』、そして今年3月に3rd『TOUGH PLAY』と毎年3月に、コンスタントにアルバムをリリースされていますが、自分の中に決め事みたいなものはあるのでしょうか。
熊木 たまたま夏のシングルを出して、秋のシングルを出して、じゃあ次はアルバム行くかといったサイクルが続いて、毎年同じ時期にアルバムを作っていったら3月になるみたいな。自分の中で制作意欲が途切れなかったのもありますし、いい周期で活動できているなと思います。
――『!magination』をリリースした時期に、日本で新型コロナウィルスの大きな流行が始まり、ライブ活動なども思うようにできなくなりました。そんな中、2021年4月4日に有観客で開催した日比谷野外大音楽堂でのライブはソールドアウト、その後の全国ツアーも大きな反響を呼びました。その経験がアルバム制作にもたらしたものはありますか。
熊木 ようやくライブ活動が再開し、いろいろな人たちに聴いていただく中で、よりパーソナルで偏った“好き”の部分を、ちゃんと出したいというのがありました。多くの人とコミュニケーションが取れたからこそ、自分のスタイルを改めて確認したくて作った、といったところが強いのかもしれません。前回のアルバム『DAILY BOP』はコロナ禍があって、みんなの日常をどう彩るか、日常の中でどうやってダンスを届けていくかという、コミュニケーションが必要なものというのが前提としてありました。作品だけでは成り立たなくて、みんなの生活の中で音が鳴ることで、ようやく機能するアルバムでした。もちろん今回も、聴いてくれた人が、自分の物語のヒントになったり、何か行動するきっかけになってもらえばいいなというのはありますが、より自分の好きなものをちゃんと打ち出していこうという意味合いでは、パーソナルな作品になっている感覚があります。