嫌なことを言われても無視して、夢のために突っ走っていく
今やYouTuberというカテゴリーを飛び越えて、時代の寵児となっているコムドット。中でも絶対的リーダーのやまとは、10~20代の若者から崇拝されている存在。そんなカリスマが40万部突破を記念して行ったイベントはライブのような熱狂でむせ返っていた。

「講演会をやるのは以前からの夢でした。今日はみなさんが『来てよかったな』と思えるようなことを、ひとつだけでも話せたらいいなと考えています」
ステージに現れると、謙虚な姿勢で講演会をスタートさせたやまと。しかし次の瞬間、いきなり「カッコいいですよね、僕。どうですか?」と客席に問いかけた。コロナ禍で歓声が上げられない観衆が拍手でこれに応えると、「カッコよすぎるのが最近の悩み。ビジュアルの進化が止まることを知らない」と笑みを浮かべる。もちろんナルシスト全開のトークは、やまと流のジョーク。ファンのハートをがっちり掴んだところで、『聖域』のメインテーマでもある「夢」について熱く語り始めた。

「夢が叶うとか叶わないかとか、そんなことを考えている時間すらもったいない。夢があるんだったら、すぐに動けばいい。決めちゃうんですよ、具体的なことまで。たとえば“飲食店を経営する”というのが夢だとしましょう。そうしたら食材の仕込み先を探したりとか、お店で使うお皿を選んだりとか、やるべきことはいっぱいありますよね。それが夢を叶えるということなんです。もちろんその過程では思い通りにならないこともムカつくことも出てくるだろうけど、自分の夢のためだったら淡々とキツいことにも耐えるしかない。嫌なことを言われても無視して、夢のために突っ走っていくんです」
ここからは名言のオンパレード。やまとは夢を叶えるにあたって「外に出ろ」「自分を知れ」の2つを徹底するべきだと説く。「外に出ろ」というのは、可能性はいろんなところに眠っているので、とにかくいろんなことにチャレンジするべきだという考え方。「自分を知れ」とは、自己分析のこと。自分がどういうときに頑張れるのか?どういうときに力を発揮できるのか?自分の本心と向き合う行為が大事だという。やまと自身が起業してから意識したのも、この「外に出ろ」「自分を知れ」の思想。観客の中には、頷きながら熱心にメモを取る者もいた。

イベント後半では参加者からの質問・相談にやまとが応じた。「誰かに頼ることが苦手。そのせいで体調も崩しました。どうすれば改善できますか?」「中学3年生の受験生です。テストの点数や塾のクラスなどについて母からプレッシャーをかけられています。跳ねのける方法は?」「仕事で挫折したとき、立ち直る方法を教えてください」「急に友達感覚が強くなったと言われ、7カ月前に彼女と別れました。気持ちが切り替えられないです」「古着屋をやりたいけど、コンセプトが固まらない。やまとさんは、どうやってコンセプトを決めていますか?」……などなど。
こうした若者の悲痛な心の叫びを、やまとは正面から受け止めつつ、真摯に言葉を投げかけていく。その誠実な姿勢は、「尊大」「高圧的」などと誤解されがちなカリスマの素顔を覗き見た気分だった。終了予定時間を大幅にオーバーしても、お構いなしといった様子で観客からの質問に答え続けるやまと。最後の記念撮影も終わらせて舞台を降りようとすると、割れんばかりの拍手が会場に鳴り響いた。
