台本で面白かったことを真面目に演じればゴールは面白いものになる
――『極主夫道 ザ・シネマ』はオープニングからお笑い要素が強く、玉木さんは最強の専業主夫ぶりも遺憾なく発揮していますが、コメディを演じる上で意識していることはありますか?
玉木 シリアスもコメディもそんなに変わりはないと思っています。明るい内容の作品だと現場で笑いが起こったりもするので、当然面白くなればいいなという思いはあっても、意図的に「面白くしてやろう」とは臨みません。台本を読んで面白かったことを真面目に、そのまま演じれば、ゴールはきっと面白いものになると思うので、それを信じて演じています。
――ドラマ版の放映が2020年でしたが、撮影現場の雰囲気は、すぐに当時に戻りましたか?
玉木 そうですね。スタッフが同じだったので元に戻りやすい環境でした。レギュラーキャストも一緒、プラスアルファでゲスト出演者の方がいますが、頭で思っているよりも体が慣れていました。
――吉田鋼太郎さんと玉木さんとの掛け合いが呼吸ピッタリで面白かったんですが、今回の共演はどんな印象でしたか?
玉木 鋼太郎さんとは何度も共演させていただいていますが、これまでは、どちらかというとシリアスなものばかりでした。今回、鋼太郎さんが演じた役がイタリアマフィア風のヤクザで、それだけ聞くと、すごく嘘くさい(笑)。でも鋼太郎さんがパワフルに演じたことで説得力が生まれて、僕としては力業でねじ伏せられてしまったような感覚でした。
――バトルやカーアクションなど、映画版ならではの派手なシーンが幾つもあって圧倒されました。
玉木 台本だとシチュエーションはト書きでしか書かれていなかったので、全体像は想像できても、明確なものはあまり見えていなかったんです。たとえばカーアクションは台本上だとそこまで長くなかったので、実際はどんな風にやるんだろうと思って監督に聞いたら、「そこは力を入れてやりたいです」と。とはいえ1日あれば、大体は撮れるのかなと思っていたら3日もかかりました。もちろん安全面を考えてワイヤーアクションなども丁寧にやらなければいけないので、時間がかかるんですけど、アクションコーディネーターの人が考えてくれたものも含めて、台本に書かれていたト書きの部分よりも映像は派手になりました。
――『極主夫道 ザ・シネマ』をどう楽しんでほしいですか?
玉木 この数年間、映画館に行くこともそうだし、思いきり笑うということから離れていた人が多いと思うんです。そんな中で、この作品は何も考えず、きつい時間を忘れて笑っていただける作品になっています。ここまで振り切ったコメディーはありそうでないですし、ドラマを観ていなくても、映画だけで十分楽しめます。子どもから大人まで楽しめるので、ぜひ映画館に足を運んでいただけたらうれしいです。