運命の巡りあわせや、その時々の選択で今の自分がある

――改めてスパガ(SUPER☆GiRLS)の卒業を決めた理由を教えてください。

渡邉 2019年1月11日からスパガの第4章が始まり、今のメンバーと一緒にやってきて、私のほうが頼ってしまうぐらい後輩のみんなが成長しました。ステージに立っている姿やライブ映像を見ても、すごくキラキラしているので、新しいスパガを見てみたくなったし、新世代のスパガは、もっと良くなっていくんじゃないかと思えたので、卒業のタイミングなのかなと考えました。

――それまでも卒業を考えたことはありましたか?

渡邉 第3章の終わりとともに5人のメンバーが卒業しました。そのときに私もスタッフさんへ相談させてもらいました。ただ新たに4期の子たちが7人加入したので、3期のメンバーもプレッシャーを感じるだろうなと同時に思いました。当時は3期の子たちも加入して2年半ぐらいでしたからね。改めて考えなおして、私が少しでも力になれればいいなと思ってグループに残ることにしました。

――昨年はコロナ禍で今までのような活動はできなかったですが、それが卒業を考えるきっかけにもなりましたか?

渡邉 そうですね。自粛期間があって、アイドル人生で、これほど長く休んだ期間はなかったので、自分と向き合う時間ができました。ふと自分はこれからどうしていきたいのかと将来を考えたときに、次のステップに進もうと思いました。本来だったら、もっとファンのみなさんに直接会って、一緒に楽しい時間を過ごしたかったですし、今の体制でツアーをしたことがなかったので、それが心残りです。

――アイドル人生というワードが出ましたが、渡邉さんは小学3年生で芸能活動を始めています。

渡邉 最初は、モデルになりたいとか、ドラマに出たいとか、そういう思いで地元の仙台で活動をしていました。歌とダンスのレッスンを受けさせてもらっていくうちに歌って踊るのが楽しくなって。初めてのステージは住宅展示場で、お客さんは出演する子たちのお父さんお母さんがほとんどでした。ステージの楽しさを感じていくうちに、どんどんアイドルという職業にハマっていきました。

――スパガに加入するまでいくつかのグループを経験されています。

渡邉 正直、小学6年生になるタイミングや、中学3年生になるタイミングなど、節目節目で芸能を辞めようと考えていたんです。そのたびに新グループの結成とか、素敵な曲と出会うなど、不思議な巡りあわせでチャンスをいただけて、今もこうして続けてこられました。私はスパガの1期生となる2010年のオーディションも受けていて、そのときは落ちているんです。もしかして、そのときに受かっていたら、今ここにいないかもしれません。一つひとつの運命の巡りあわせや、その時々の選択で、今の自分がありますし、こうして歩んできた道は間違っていなかったと思います。

――学校生活を楽しみたかった気持ちはありましたか?

渡邉 ひたすらがむしゃらにやってきたので、羨ましいなと思いつつも、そこに対しての執着はなかったです。ただ学生のうちにスクールラブを経験したかったです(笑)。

――学校の行事には参加できていましたか?

渡邉 基本的には参加できていたんですけど、途中で早退することが多かったです。高校時代、1泊2日の野外活動があったんですけど、2日目にお仕事が入っていて、わざわざお母さんが迎えに来てくれたんです。家族の支えもあったからこそ、学生時代の思い出も作れて感謝ですね。

――家族はアイドル活動に賛成だったんですか?

渡邉 みんな応援してくれています。ただお兄ちゃんだけ一度も私のライブを見たことがなくて。恥ずかしさもあってか「興味ないから」って言うんですけど、卒業ライブだけは絶対に来てほしいです。

――高校時代、特に学校で印象に残っている思い出はありますか?

渡邉 学園祭です。私は女子高だったんですけど、屋台を出したり、ビラを配ったり、みんなで作り上げていくのがすごく楽しかったです。

――どうして女子高を選んだんですか?

渡邉 宮城県で芸能活動をできる学校が少なくて、その高校には自分の先輩にあたる方々も通っていたので選びました。ただ高校2年生からはスパガ加入のタイミングで上京したので、別の高校に編入しました。

――女子高ならではの良さってありましたか?

渡邉 女子だけだと、意外に女子問題って起きないんですよ。たぶん異性が混じったほうが、そういうゴタゴタって起きやすいと思います(笑)。男性からすると女子高ってきれいなイメージがあるかもしれませんが、意外とサバサバした子が多くて、休み時間に他愛もないことで騒いで、そういう時間が楽しかったです。

――高校時代に東京で一人暮らしを開始されます。

渡邉 最初は友達もいないですし、すぐにメンバーと溶け込めなかったので、ホームシックになりました。お金も全然なくて、仕事帰りに近所のスーパーに寄って、一番安いパンを買って(笑)。あまりにも寂しくて、よく夜行バスで地元に帰っていたんですけど、事務所の方に「帰りすぎ」って言われていました。同じエイベックスの他のアイドルグループとの交流もあったので、友達の幅も広がって、徐々に東京での生活も楽しくなりました。