「かぞくのうた」は個人的な曲だけど、客観的に愛せる不思議な曲

――世武さんのアレンジに関しては、どんなものにしたいと伝えたんですか?

坂本 世武さんに完全にお任せして、伝えたことは「カルテットぐらいでストリングスは入れたいな」ということだけです。そしたら素晴らしいものが返ってきてびっくりしました(笑)。

――ピアノと弦というシンプルな編成で音のフレーズがループしていますが、それが人生や親子だったり、人との繋がりを表しているように感じました。

坂本 それは感じますね。循環といいますか、その中で高まっていったり絡み合ったりという、音楽での人間模様の描き方、感情の描き方がさすがだなと思いました。より物語を膨らませてもらって、映画みたいだなと感じましたね。

――後半になるにつれてより広がっていく雰囲気も、人生を表している感じですよね。ボーカル面で意識したことは?

坂本 歌は素朴に、そこまで感情を押し出さなくても大丈夫だなと思ったんです。むしろプレーンの状態でいたほうがいいなって。その背景で、すごく雄弁に音で語ってくれているので、曲の終わり方も世武さんにおまかせしました。世武さんとは、自分の家族のことなども話し合う仲だし、ちょっと境遇が似てたりするので分かってもらえるところがあったから、そうしようと思ったところはあります。

――完成した「かぞくのうた(feat.Hiroko Sebu)」に対してどんな感想がありますか。

坂本 とても好きな作品になりました。すごく個人的な曲なんだけれども、客観的に愛せる不思議な曲です。個人的過ぎると自分で好んでは聴かなかったりすることもあるんですけど、このアレンジになってから特に違う物語としても冷静に聴けるようになったんです。なので、たくさんの人に愛してもらえる曲だと思います。この5年間、ライブでもいっぱい歌ってきて、身近な人もそうだし、ファンの人もこの曲をすごく好きでいてくれるんです。そういう意味でも、よりみんなの大事な曲になったなと思ってます。

――カップリングの「あなたと」は、「かぞくのうた(feat.Hiroko Sebu)」と共通する部分がある楽曲ですね。

坂本 「あなたと」は、中島ノブユキさんが作曲、私が作詞という「かぞくのうた(feat.Hiroko Sebu)」を制作したコンビで、スタートはラジオ番組「NHKラジオ深夜便」からのオファーで作った曲なんです。せっかくこのコンビで作るなら、「かぞくのうた」と対になるような曲にしたいというのは最初から意識していました。そのラジオ番組のリスナーは年配の方も多いので、長年連れ添った夫婦というのを想像しながら書きました。身近な憧れのご夫婦のことを思い浮かべたり。でも、結局は別々の人間たちがどう一緒に生きて、それぞれの愛の形を作るかという、「かぞくのうた(feat.Hiroko Sebu)」と同じことを言ってるなと後から思いましたね。