アクションシーンはダンスの経験が活かされた
――『レッドブリッジ』で大倉さん演じる坂口海斗と、主人公の今西大輝はドラッグに依存する不良少年ですが、役作りはいかがでしたか?
大倉 全く縁のない世界ですし、自分の引き出しにない表現だったので、ドラッグをやったときの演技をどうするのか分からず悩みました。ドラッグを描いた映画なども観たんですが、僕の中では、ドラッグをするとテンションが上がるというイメージだったんです。でも海斗に関しては、仲間といるときは明るいけど、ローテンションになるという説明を受けて、自分のイメージが覆されたというか。演じながらも、「どうしよう?ちゃんと表現できているのかな」と心配でした。
――脱力してヘラヘラ笑うところなんかはリアルなのかなと思いました。
大倉 その言葉をいただけて安心しました。ドラッグのシーンは別にして、仲間と一緒にワチャワチャする、友達といるのが好きという海斗のキャラクターは、僕にも通じるものがあるので、そこはナチュラルに演技を楽しむことができました。
――『レッドブリッジ』は疾走感のあるシーンがある一方で、物語を逸脱するようなシーンもあって、不思議なテンポ感がありますよね。
大倉 そうですね。『レッドブリッジ』はロードムービーで、1シーン1シーンの展開はちゃんとあるんですけど、それは外側に見える展開だけではなくて、心の中で動く展開もあって、それが面白いところです。仲間の危機を救いに行くのがメインのストーリーですが、急いで助けに行くのではなく、1シーンずつ登場人物たちの感情の動きがあって、それが丁寧に描かれています。助けに行くのも仲間意識というよりは、好奇心が強くて、日常生活そのままにダラダラと寄り道もするし、ケンカに強いはずなのに負けることもある。その構成が魅力的でした。
――『レッドブリッジ』はアクションシーンや走り回るシーンがふんだんに盛り込まれていますが、事前に体力作りなどしましたか?
大倉 役作りという面では準備しましたけど、体力面はそこまでしていなかったので、まさかこんなに走ることになるとは……(笑)。アクションシーンは事前に稽古があって、「アッパーはこう。フックはこう」みたいなアクションの基礎を先生に教えていただいて、それを個人で練習してから現場に臨みました。
――ケンカのシーンで、海斗は一見すると優男なのに、実は喧嘩っ早いという狂気を秘めています。
大倉 僕自身、ケンカをするタイプではないし、瘦せ型で全然強く見えない中、どうやったら強く見せられるかが難しくて。それを表現するために、『クローズZERO』などの映画を参考にして、腕を大ぶりにするなどの工夫をしました。
――アクションシーンでは見事な立ち振る舞いを見せていましたが、ダンス経験も活きたのではないでしょうか?
大倉 それは大きかったですね。もともと振り覚えは早いほうなので、殴るときの基礎的な動きなども覚えるのは早かったと思います。「アッパーのときは腰を入れる」とかも、振りの一部だと考えると気も楽になりました。あとグループ活動をしていたことも、この映画では活かされました。げんじぶ(原因は自分にある。)は7人全員が仲良しのグループなので、その空気感みたいなものは、『レッドブリッジ』の仲間との関係を作るのにも役立ちました。