一人ひとりの世界観を繋げていこうと意識したレコーディング
――5月27日に配信リリースされた新曲『545』は、同年3月からリリースが続いた『青、その他』『結末は次のトラフィックライト』に継ぐ“三部作”の最後を飾った作品です。新曲のテーマや注目ポイントを教えてください。
大倉空人(以下、大倉) 今回の曲は『青、その他』と『結末は次のトラフィックライト』の世界観を補完して、その後を描いた作品になっています。前2曲のジャケットで使われていたキーカラーが青と赤だったのを受けて、今回のジャケットには青と赤の中間色である緑を使っていて。ミディアムバラード調の曲で、メンバー7人それぞれの歌声がよく分かる仕上がりになっているので、じっくり聴いてもらえるんじゃないかと思います。
――散歩中に聴くとウキウキしながら歩けるような、軽やかさも印象に残りました。読者のティーンには、どんな場面で聴いてもらいたいですか?
武藤潤(以下、武藤) 曲調や世界観とは異なる視点からの話になりますけど、何かに挑戦するときに聴いてもらいたいですね。今回の曲名『545』はモーツァルトの『ピアノソナタK.545』をモチーフにしていて、楽曲のMVも、その曲をピアノで弾く場面から始まるんです。モーツァルトの曲を「弾けるように挑戦したい」という思いから始まった曲でもありますし、ピアノに限らず、夢に向かって突き進んでいる十代のみなさんに刺さる曲になっていると思うので、何かに挑戦するときに聴いてもらいたいです。
――一人ひとり、制作を進めていく中で、苦労した部分や特にこだわった部分はどこでしょうか?
武藤 一人の人物を思い描きながら、曲の展開に応じて様々なシーンを想像していったんですよ。何も上手くできなくて、自分自身にイラ立ってしまう感情とか。場面ごとのテンションを、みんなで繋ぎながら合わせていくのは難しかったです。
小泉光咲(以下、小泉) 僕らの曲は基本的に疾走感のあるものが多いんですが、今回の作品はゆったりとした曲調なので、感情をいつも以上に込めて歌うのが大事になると考えていました。これまでやってこなかった曲調には、苦労もありましたね。担当パートではクセを出さずそつなく歌ってみたり、場面に応じて歌い方を工夫しました。
大倉 僕は、同じメロディーラインが連続するパートの担当でしたけど、聴いていてのっぺりした印象を与えないように、一つひとつの歌詞の意味を噛み締めながら歌いました。はっきり伝えるときは、ブレスを多めにしてみたり。メリハリのある歌い方で、飽きないように工夫できたかなと思います。
杢代和人(以下、杢代) これまでの楽曲では自分の声質を活かして歌うようにしてきたんですけど、今回の曲では聴き心地がよくなるようにと意識したので、普段の歌声とは少し変わっているのかなと思います。みんなで空気感を繋げる必要があったので、担当パートの前を歌うメンバーの音源を聴いてから歌い、レコーディングを進めていきました。だから、作り方が普段と違いましたね。いつもは、自分のところだけを重点的に考えていたので。メンバー同士の空気感を、上手く組み合わせられたんじゃないかと思います。
長野凌大(以下、長野) 和人が言っていたように、7人それぞれで自分の声を活かしつつ、一人ひとりの世界観を繋げていこうとは意識していました。個人的なところでは、メロディーが切り替わる節目の部分を任せてもらって。普段はサビを担当することが多いんですけど、節目のパートは曲の中での流れを変えるという役割があるので、僕の声で「曲の展開に変化がつけばいいな」と思っていました。
吉澤要人(以下、吉澤) 僕もみんなのように、歌を繋げていこうと意識しました。細かな部分では、担当パートの一部「役に立たない記憶ばかりだ」の歌詞を受けて、ぼくの描いていた登場人物が一番感情を爆発させている部分ではないかと考えたので、普段のように息を混ぜながら軽めに歌う感じではなく、一番強く声を出そうと意識しながら歌いました。
桜木雅哉(以下、桜木) 曲自体の歌い出しが僕のパートなんですけど、楽曲の第一印象を与える箇所だから、頑張らないといけないなと思いましたね。レコーディングでは、いろいろと工夫して。どんな仕上がりになったのか、注目しながら聴いてもらえるとうれしいです。