大変だったからこその、やりがいと達成感があった
――生見さんにとって映画初出演となる『モエカレはオレンジ⾊』ですが、オファーがあったときの気持ちはいかがでしたか?
生見 青春映画に憧れがあったので、素直に嬉しかったですし、めちゃくちゃ頑張ろう!って前向きな気持ちでした。出演が決まってから原作コミックを読んだのですが、読んでいるだけでめっちゃキュンキュンして、「早く演じたい!」と撮影が楽しみでした。
――どんなところにキュンキュンしたんですか?
生見 私が演じたヒロインの萌⾐も、岩本(照)さんが演じた蛯原も、お互いに不器用なので、応援したくなるんです。だんだんお互いが成長していく過程にキュンキュンしました。消防士(蛯原)に助けられるなんて、自分にはない経験なので、そこも良かったですね。脚本にも、自分が好きなシーンは全部入っていたし、すごく素敵な映画になりそうだなと思いました。
――萌⾐に共感する部分はありましたか?
生見 似ている部分が多いと思いました。わりと私も人見知りで、なかなか自分から知らない人に話しかけるとかできないタイプなんです。一方で、変にポジティブなところもめちゃくちゃ似ていて、演じやすかったです。
――萌衣を演じる上でこだわった部分はありますか?
生見 萌衣はめちゃくちゃ素直で、変に難しく考えたりしないで生きているんだろうなと思ったので、真っすぐな目線で演じられるようにしようと。だから良い意味で、あまり考えすぎないように演じていたところがあったかもしれません。
――初めての映画出演、しかも初ヒロインということで、難しいなと感じるシーンもあったのではないでしょうか?
生見 全部難しかったですが、特に悲しいシーンですね。楽しいシーンの後に泣くシーン、泣くシーンの後に楽しいシーン、という感じで、1日にいろんな感情を表現するので体力は使いました。でも、糖分を取っていたので、メンタル面は大丈夫でした(笑)。大変だったからこそ、やりがいと達成感がありましたね。
――映画の現場ならではの達成感ということでしょうか?
生見 そうですね。同じスタッフさん、共演者の方々と長期間一緒に過ごすことって、なかなかバラエティではないことです。みんなとも仲良くなれるし、一つの作品がやっと完成したという達成感がありました。もちろん大変なこともありましたが、楽しさが勝っていましたね。
――監督の演出はいかがでしたか?
生見 すごく優しくて、私の演技を見て、ちょっと意見をくれるという感じで自由にやらせてくださいました。「その場の雰囲気でセリフも変えちゃっていいよ」というスタンスでいて下さったので、「なんか違うな」と思ったら、言葉尻を変えてもらったり、セリフをなくしてもらったりしました。
――監督と意見交換することもあったのでしょうか?
生見 全体的に話し合いながら進んでいきましたね。特にセリフがない表情だけのシーンでは深く話し合いました。ちゃんと監督は「こういうことがあるから、こういう表情になるんだよ」と分かりやすく伝えてくださるんです。監督はプライベートの話などもしてくださって、コミュニケーションをいっぱいとってくださる方なので、現場の雰囲気も良かったです。岩本さんをはじめ、出演者の皆さんと一緒にやってみて、ちょっと違うなと思ったら、「こっちのほうが言いやすいかもね」などと相談もしました。みんなで作品を作っている感じがしたし、素敵な現場でしたね。