どんな作品でも内容がないと視聴者の心は掴めない
――『映画 妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』に先行して、ドラマ「妖怪シェアハウス」の第2シーズンが放映中ですが、第1シーズンの時点で、ここまで影響力のある作品になる予感はありましたか?
毎熊 いい感じの反応があるとは聞いていましたし、ギャラクシー月間賞も受賞したので、すごいな、良かったなとは思っていたんですが、まさか第2シーズンと映画化が同時に決まるまで発展するとは予想外でした。
――なぜ、ここまで世間に受け入れられたと思いますか?
毎熊 ベースは「ホラーコメディ」という子どもも好きそうな雰囲気で、おふざけ満載の印象もありますが、どんな作品でも内容がないと視聴者の心は掴めないというのが基本的にあると思うんです。「妖怪シェアハウス」は、制作者が視聴者に何を伝えたいかがしっかりあるなと僕ら俳優も感じましたし、その思いを一緒に表現しようと演じていました。それが子どもに限らず多くの視聴者の方にも伝わった結果、こうして応援してもらえているのかなと思います。
――第1シーズンのオファーがあったときは、どんなことを感じましたか?
毎熊 撮影が新型コロナの1回目の自粛期間空けだったんです。あの当時は、みなさん仕事がなくなったり、学校が休校になったりしたじゃないですか。僕も仕事が全部白紙になりました。そんな中でこのお話をいただいて、単純に楽しそう!と思いました。こういうときだから、元気の出る仕事ができるのはうれしかったです。
――毎熊さんが演じるのは酒井涼こと酒呑童子(しゅてんどうじ)で、現世ではオークション会社で働いている、酒、女性、合コンが好きで、女性にモテるチャラい男でありながら、卑怯者を許さない正義漢というキャラクターです。どのような役作りを意識しましたか?
毎熊 妖怪の役は初めてだったので、キャラ設定については丁寧に説明してもらいました。自分でも酒吞童子がどんな妖怪なのか調べたりもしたんですけど。第1シーズンの4話で、いきなりパーティーで踊るシーンがあって。脚本から連想する酒吞童子は斜に構えて、みんなが喋っているのを縁側で聞きながら、たまに茶々を入れるような距離感を保つ堅い役でした。ところが4話では踊り狂うシーンが書かれている。4話でいきなり踊り狂ってもキャラクターが繋がるように、1話から堅くなり過ぎないように意識していたと思います。そこさえ上手くいけば、あとは何をやってもいけるなという感覚がありました。
――映画版の監督はドラマ版と同じく豊島圭介監督ですが、撮影に違いはありましたか?
毎熊 今年1月からドラマの1、2話と映画の撮影が同時に始まって、「この日はドラマ、この日は映画」みたいな感じだったので、頭がごちゃごちゃになるところもあったんですけど、監督もスタッフも一緒なので基本的にドラマと一緒でしたね。
――映画は第2シーズンが終わった後のストーリーですから、余計に同時進行だと混乱しそうですね。
毎熊 そうなんですよね。まだ1、2話も撮り終わってないのに、その先の話を撮影するというのは難しくて。僕ら俳優もそうですけど、監督もスタッフも難しかったと思うんです。そこはもう脚本を頼りに作っていきました。後は、その場の瞬発力というのが、このドラマの良いところなので、思いついた面白いことはすぐにやるようにして(笑)。
――アドリブで演じることもあるんですか?
毎熊 誰かが思いついた面白いことにみんなが連鎖していくことは多々あって、それは脚本に書かれていない部分だったりもしますね。