思っていることを相手に伝えられない不器用さに共感

――田中さんの初主演映画『ディスコーズハイ』は、かなりぶっ飛んだ内容ですね。

田中 ですよね(笑)。

――映画初主演のプレッシャーはありましたか?

田中 めちゃくちゃありましたけど、岡本崇監督が穏やかな方なので、気を遣わずにリラックスしてできました。今回は、ぶっ飛んだ役で、監督もぶっ飛んでるから、自由にやっていいんだという開放感もありました。

――田中さん演じる瓶子撫子の立ち居振る舞いや言葉遣いも荒々しくて映画の世界観にぴったりでしたが、役作りはどんなことを意識しましたか?

田中 撫子は強めで大雑把なところがあるけど、しっかりしている面もあって、そこは私にも共通している部分があるので、違和感なくなりきれました。固くなり過ぎずにリラックスするように演じましたね。

――撫子は音楽事務所で結果を出せずに悪戦苦闘しますが、共感するところはありましたか?

田中 思っていることを、なかなか相手に伝えられない不器用なところとかは、自分と重なる部分もあって共感しました。

――コントを見ているような掛け合いのシーンが多かったです。アドリブもあったのでしょうか。

田中 セリフは脚本通りです。出てくるのが個性豊かな方ばかりなので、合わせてやっていたら、そういう映画ができちゃいましたね(笑)。完成した映画を観るとテンポが良いですけど、現場は結構ゆったりしていて、そんなにテンポが速かった訳ではなかったんです。

――朴訥とした喋り方が味わい深い方もいましたが、素人の役者さんもいらっしゃいました?

田中 そうなんです。監督のお友達やお知り合いも出られているので、演技が初めてという方もいらっしゃって、終始笑いの絶えない現場でしたね。

――楽しそうな現場というのは画面からも伝わってきました。

田中 分かりました?うれしいです!

――そんな周りの役者さんは本番前、どんな雰囲気だったんですか?

田中 いつスタートがかかるか分からないのに、逆に私が緊張しちゃうくらい、みなさんリラックスされていました(笑)。

――撮影は大阪ですか?

田中 全編大阪です。私自身、京都出身で、デビュー前にレッスンで京都と大阪を行き来していたので、馴染みがあります。

――ライブハウスのシーンも多いですけど、プライベートで行ったことはありましたか?

田中 その頃はなかったです。ライブハウスって、めちゃめちゃ音楽が好きとかじゃないと、自分から行く機会はないじゃないですか。過去にX21というグループでアイドルをやっていて、ライブハウスのイベントにも出たことはあるんですけど、客席からステージを見る感覚はちょっと違っていて、新鮮で楽しかったです。

――岡本崇監督はインディーズバンド界のMV制作黎明期を支え、自身も音楽活動を行っていた方ですが、どんな印象でしたか?

田中 まず音楽好きというのが、強く伝わってきました。あと監督が撮影も担当していたので、とにかく動き回っているんですよね。右にいたと思ったら、次はもう左にいるとか、終始どこにいるか分からないんですよ。どこかに紛れ込んでしまっているから、監督に質問したいときも「監督はどこですか?」と探してもらわないといけない(笑)。そういう現場に入るのは初めてだったので、新しい環境に飛び込んだなと感じました。演出に関しては、「田中さんのイメージそのままに演じてほしい」と私に委ねてくれたのでやりやすかったです。ただ蹴ったり叩いたり、強く行く部分は真剣にやってほしいと言われました。

――特に印象に残ったシーンを挙げていただけますか?

田中 音楽事務所の社長役が監督のお知り合いの方で、「1週間前くらい前に今回の話を聞いたんだよ」と仰っていて。私の横にカンペがあって、それを見ながらセリフを言うんです。言葉に詰まったら、監督がそのセリフを横から言ったりして(笑)。それで、ちゃんとシーンが繋がるのかなと不思議だったんですけど、上手く編集されて、ちゃんと弱々しい社長になっていたのが「すごい!」と思いました。

――改めて作品の見どころを教えてください。

田中 音楽映画とは言っているんですが、ジャンル分けが難しいんですよね。今までにないような作品になっているので、あえて前情報を入れずに観てほしいです。「向いてるかどうか分かるのかよ、才能ない奴によ」「才能どっかに落ちてないかなー」といった深いセリフが多くて、最後の最後に感動もあるので、心に刺さる部分もあるかと思います。