その場の景色や相手の言葉をたくさんキャッチした撮影現場

――映画『とおいらいめい』の脚本を初めて読まれたときの印象はいかがでしたか?

髙石 私がこれまでに演じたのは、感情を素直に発散するような役柄が多かったので、音は今までにやったことがないタイプでした。初めは「私にできるのかな?」とも思いましたが、次第にこの役を楽しみたいという気持ちが強くなりました。演じる上では二人の姉との関わり方がキーになるので、リアルでも、(吹越)ともみさん(長女・絢音役)と(田中)美晴さん(次女・花音役)との仲を深めていこうと思いました。

――人類の滅亡が迫っているというSF的な要素にはすんなり馴染むことができましたか?

髙石 できました。私自身想像するのが好きなので、「世界が終わってしまうってどういう感覚?」「じゃあ死後の世界ってなんだろう?」とどんどん想像が広がっていきました。

――髙石さんの演じる三女・音は、二人の姉とは腹違いという複雑な立ち位置です。役作りではどんなことを意識されましたか?

髙石 音のイメージは、脚本を読んですぐに自分の中で作られました。内気だけども、心の中で目まぐるしく感情が動いている。じゃあ、そんな音は「どういう歩き方をするんだろう?」「バッグはどう持つんだろう?」といろいろ試しながら形を作っていきました。そうやって作り込んでいくと、例えばコップを手に取ったときにも「これは音の取り方じゃないな」という違和感が生まれたりもします。私はこれまで舞台の仕事が多かったので、映像作品は新鮮なことだらけです。撮影に入ってからも、その場の景色や相手の言葉をたくさんキャッチして、そのときに感じた音の想いのまま返していきました。

――本作では、姉妹で食卓を囲む場面が印象的でした。毎回少しずつ変化する食事のシーンで工夫されたことはありますか?

髙石 この作品は食事もキーになっていると思います。最初は音が一人で朝ごはんを食べて、それから急に姉妹三人での生活になって、三人での食事が増えていきますが、音の目の配り方は食事を重ねるごとに変わってくるんです。音は、亡くなったお父さんとの二人での食事や、一人きりでの食事に慣れているから、他の人間の食べ方が新鮮に映る。わたしは音として食べながら、お姉ちゃんたちの食べ方を見て、「え!茶碗ってこういう持ち方をするんだ!」と面白く感じていました。

――音ちゃんが食事中に下を向いて食べているのは、監督から指示があったのでしょうか?

髙石 私から提案させて頂きました。食事に没頭したいのに、周りに敏感だから、実はいろんなことが気になっている。でも感じているのをお姉ちゃんたちにバレたくないから、下を向いているという。私は食べているときのお芝居がとても好きで、、、食事って、そのキャラクターの癖が全面に出るから、とても楽しかったです。